『ミス・ビアンカ シリーズ5 オリエントの冒険 』  マージェリー・シャープ

前回、1600キロ離れた塩坑への旅を遠いと感じていましたが、今回はオリエント(のどこかの国)への旅です。初めてのオリエント、と言うのがうそみたいに手馴れた様子でバーナードとともに飛行機に乗ってしまいます。
事の起こりは、大使館のパーティの席上で、オリエントの大使からプレゼントされた宝石をちりばめた絹のふくろ。そこから現れた小へびの話。
オリエントの王宮で、美しく残酷な王妃の気まぐれで処刑されそうになっている給仕の少年を救うために、ミス・ビアンカとバーナードが出かける。

美しくて贅沢な楽しみばかりを追求した王妃と侍女の暮らし。その退廃的なぼーっとした世界の底にひそんでいる怖さ・・・なんだけれど、相変わらずのんびりしたお話です。
バーナードはマウス・オリエンタル・ポロクラブなんかに入っちゃって、ポロの試合に夢中だし。
ミス・ビアンカとバーナードの喧嘩が可愛いです。そして、その喧嘩に人一倍心を痛めてしまうバーナードが、可愛そうだけど、おもしろい。
旅の最初のほうのミス・ビアンカの「らしくない行動」に、「???」と思いましたが、終わりの方で、その意味が、これまたのんびりと浮かび上がってきます。(緊張した場面なんですけどね)可愛いマジックでした。

囚人の置かれた状況の描写が、(シリーズみんなそうなんだけど)、このお話の可愛い雰囲気に似合わずかなり残酷です。それが、今回は囚人とミス・ビアンカが心を通わす場面がまるっきりなかったので、あっさりし(すぎ)ていたかな。

それから、挿絵が替わりました。エリック・ブレグバード絵。
ガース・ウィリアムズのやわらかな線とユーモラスなんだけれど温かい雰囲気に安心しきっていたので、「えーッ!」って感じです。これも良い絵ですが、かなり印象ちがってしまい、残念だと感じました。

さてさて、オリエントは遠いと思いましたが、6巻は「南極の冒険」ですって。最終巻は月まで行っちゃいそうな気がする。ここまで来たら最後までついていこうと思います。(バーナードの心で)