- 作者: なかがわりえこ,おおむらゆりこ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1967/01/20
- メディア: ハードカバー
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道を歩いていると、みちのまんなかにとても大きなたまごが落ちているのをみつける。これだけですてきな大冒険だと思う。
ぐりとぐらが、小さな野ねずみだなんてことはすっかり忘れて、自分の背丈ほどの大きさの卵が、画面いっぱいに描かれているのをみて、わくわくする。
ぐりとぐらは、働くことを素敵な遊びに変えてしまう。
日々のこまごましたあれこれを心行くまで楽しんで暮らしているのが、いいなあ、と思う。
たまごを料理するおなべやボール(とっても大きい)を運ぶことだって、愉快な運び方を考えだして、楽しそうだ。
せっせと働いたら、あとは歌をうたいながらカステラが焼けるのを待っている。
野外調理の楽しみね。
そこに、あんな仲間やこんな仲間が、ぞろぞろと集まってくるのもうれしいことだ。
クライマックスは
「まあ! きいろい かすてらが、
ふんわりと かおを だしました」
大きなおなべいっぱいに膨らんだ黄色いカステラ。
絵本のなかから、いい匂いがしてきそう。
みんなで分けあって食べる場面がうれしい。
この絵本を楽しんで読んでいた子が、たとえば、
絵のなかに手を伸ばして、焼きたてのカステラをちぎっては、ぐりとぐらの仲間たちの口元に、それから自分の口に運んで、いっしょにたべているつもりになる。
そういう子どもの姿が目にみえるような気がするのだ。
だけど、おなかがいっぱいになるって、少しさびしくはない?
満腹で完全に満ち足りているはずなのに、ああ、祭りは終わった、あとはお片づけして寝るだけだな、なんて思うと。
でも、このお話は、ごちそうさまでおしまいじゃない。
楽しいことが、おなかいっぱいになっても続くのが素敵だね。