第五福竜丸から「3.11」後へ

第五福竜丸から「3.11」後へ――被爆者大石又七の旅路 (岩波ブックレット)

第五福竜丸から「3.11」後へ――被爆者大石又七の旅路 (岩波ブックレット)


そうだったんだ…
この事件は一つも決着がつかないまま、被爆者たちともども、うやむやに葬り去られてしまったんじゃないか。
先に読んだ絵本『ここが家だ』のなかの
「けれど わすれるのを じっと
まっている ひとたちもいる」
という一文がよみがえってくる。



私たちは、公の海で操業中にアメリカの水爆実験で被爆させられた、まぎれもない被爆者です。加害者のアメリカからわずかな見舞金を受け取り、今後一切アメリカの責任を問わないと言って政府はその年の内に政治決着を結び、すべてを解決済みにしました。その時点から、私たちは被爆者でありながら被爆者でなくなり、宙に浮いてしまいました。  
(大石又七著『真実』より)


大石さんをはじめとして、第五福竜丸の乗組員のかたたちにふりかかった本当のことも、
周囲の人びとの反応も、
そして、その後の長い人生の、あまりに理不尽な苦しみ、怒りも…
知ろうともしなかったのだ。