8月の読書メーター
読んだ本の数:28冊
読んだページ数:8525ページ

ドリーム・ギバー―夢紡ぐ精霊たち (ハートウォームブックス)ドリーム・ギバー―夢紡ぐ精霊たち (ハートウォームブックス)
辛いとき苦しい時、幸福な思い出・美しいイメージが、どんなに自分を助けてくれることか、励ましてくれることか、悪夢に向かいあう勇気を与えてくれることか。人が経験した事柄からお話が生まれ、どんなものにもお話があるなら、お話と夢はなんてよく似ているんだろう。
読了日:08月31日 著者:ロイス ローリー
ボストン夫人のパッチワークボストン夫人のパッチワーク
「グリーンノウ」の作者ボストン夫人のパッチワーク作品を彼女の慈しんだマナハウスとともに紹介した本。古いパッチワークを補修しながら、その布にまつわる思い出をトーリーに語るグリーンノウ夫人の姿、マナハウスの佇まいから物語の断片などが思い出され、いろいろと楽しめました。もちろん肝心のパッチワーク作品の見事さは言うまでもなし。作者が生きている限り使い続けられ、補修され、補修されるたびに複雑で手の込んだ模様になっていったことなどに刺激を受け、手仕事病も疼き始めています。
読了日:08月30日 著者:ダイアナ ボストン,ルーシー ボストン,ジュリア ヘッジコー
小鳥たちが見たもの小鳥たちが見たもの
安全なはずの主人公の日々は苦々しく不安で、恐ろしい不幸のはずの三人の子どもたちの幻影は光の中で輝いて見える。この対比がある限り、いなくなった子どもたちが、主人公から遠ざかることはない。彼はその光に手が届いたのだろうか。それは安らぎの風景なのか。あまりに美しすぎる。すぎるものは息苦しくさせる。
読了日:08月29日 著者:ソーニャ・ハートネット
銀のロバ銀のロバ
静かな寓話的な物語なのに、現実に勝るような手応え。いろいろなことが語られているけれど、特に心動かされたのは、同じ目的を持ちながら、そのことが自分にとっては全く別の意味を持つ5人がそれぞれ、しっかり相手と関わろうとする真摯な姿。
読了日:08月28日 著者:ソーニャ ハートネット
読書の腕前 (光文社新書)読書の腕前 (光文社新書)
本の虫エリザベスもびっくりの「腕前」の読書家たち。世界は広いな〜。読書はなんてすてきな遊びだろう。しかし、取り上げられた本のほとんどがタイトルどころか作者名さえ聞いたことがない。自分の無知が悲しくなってしまう。
読了日:08月27日 著者:岡崎 武志
運命の騎士 (岩波少年文庫)運命の騎士 (岩波少年文庫)
簡単に「夢をかなえる」というけれど、「夢の途中」にいるものは、その「夢」の大きさに押しつぶされない強靭で豊かな心、そして深い愛情をやしなっていかなけらばいけないのかもしれません。夢が大きく、遠ければ遠いほど、それに手をのばすことは厳粛なものである、と感じさせられた作品でした。
読了日:08月26日 著者:ローズマリ・サトクリフ
海へ出るつもりじゃなかった (アーサー・ランサム全集 (7))海へ出るつもりじゃなかった (アーサー・ランサム全集 (7))
(再読) 思いがけない冒険ではあったが、とうとう親のふところから飛び出した子どもたち。このところ停滞気味と感じていたが、その閉塞感を突き破ってなんともいえない爽快感を味わいました。 しかし母親はきっと複雑な気分ですね。子どもたちの成長を誇りに思いながらも、ほんとは不安だし、ちょっと辛いよね。
読了日:08月25日 著者:アーサー・ランサム
銀のシギ (ファージョン作品集 (6))銀のシギ (ファージョン作品集 (6))
もとのお話「トム・ティット・トット」の一人の女性から性格真逆の姉妹が生まれたこと、おまけに王さまは二重人格ですと。ちょっと古い舞台の香りが心地よいです。それにしても、こんな二重人格男を夫にしたいかな、ほんとに。日和見のその場しのぎのお約束もしちゃだめでしょ。
読了日:08月24日 著者:エリナー・ファージョン
サレンダーサレンダー
圧倒されました。何をどう書いていいやら。最期まで戦い続ける・・・そう決心したことが、勝利である、と思いたい。醜く残酷で苦々しい場面が続きながら、物語全体に漂う透明感。美しさ。打ちのめされた、と感じながらも、この透明感は、いつまでも心に残りそうです。
読了日:08月23日 著者:ソーニャ ハートネット
みそっかす (岩波文庫 緑 104-1)みそっかす (岩波文庫 緑 104-1)
大人たちに対する思いが客観的で、偏りがないように思った。子ども時代の思い出を大人になってから書いたものではあるけれど、当事者がこんなふうに書けるものなんだ、と驚きました。もしかしたら文さんという人は「はは」に似ていたのではないか。後に出会った恩師のひとりのずけずけとした物言いに腹を立てるどころか惹かれた、ということも。ぬるま湯のようなやさしさではなく、目に見えない人間の誠実さを感じることができる人、同じ誠実さで答えられる人は、大人でも子どもでも、すごいなあ、と思う。
読了日:08月20日 著者:幸田 文
ヒナギク野のマーティン・ピピン (ファージョン作品集 (5))ヒナギク野のマーティン・ピピン (ファージョン作品集 (5))
まだ学校に行ってない子どもたちは、なんとまあ賢いのだろう! 好きなお話は「エルシー・ピドック夢で縄とびをする」「ウィルミントンの背高男」
読了日:08月19日 著者:エリナー・ファージョン
リンゴ畑のマーティン・ピピン (ファージョン作品集 (4))リンゴ畑のマーティン・ピピン (ファージョン作品集 (4))
(再読)大きなお話の中に6つのお話が入った入れ子のような物語と思っていたら、これが七つ目のお話でした。好きなお話は「王様の納屋」、印象に残る人物は「オープン・ウィンキンズ」のマーガレット。
読了日:08月19日 著者:エリナー・ファージョン
hi mi tsu ki chi ヒミツキチhi mi tsu ki chi ヒミツキチ
しかし、よっくみつけたねー、と著者の方の努力にも感動です。周囲から巧みに隠された子どもたちの秘密基地をみつけるためには、著者もまた子どもの心と目を持たなければならないでしょう。今でもまだこんな風に遊んでいる子どもたちがいるんですね、東京近在に。この本を眺めるのは楽しい。わくわく。宝探しの地図を描いているみたい。
読了日:08月18日 著者:西宮 大策
あの庭の扉をあけたときあの庭の扉をあけたとき
なんて強情で憎たらしいおばあちゃんと子ども。だけど、その感じの悪さに無遠慮に入りこんでみれば、シャイでかわいい子がちょこんと座っているのに出会えたのでした。並録の「金色の赤ちゃん」は別の扉を開ける話。どちらの物語も扉のおくにあるのは宝物。大切にそーっと抱えこみたくなる。
読了日:08月17日 著者:佐野 洋子
鷺と雪鷺と雪
読後、ぱらぱらと本をめくって、再会したのは「騒擾ゆき」。どきっとしました。音も色も消えていくような気がしました。
読了日:08月16日 著者:北村 薫
ツバメ号の伝書バト (アーサー・ランサム全集 (6))ツバメ号の伝書バト (アーサー・ランサム全集 (6))
(再読)今度は金鉱堀り。半分近くまで物語が動き出さず、貴重な夏休みを〜と読者としてはじれます。でも、いったん動き出せば、あれよあれよと物語は進む。あっちこっちに飛び火して、思わぬ拾い物をして、すばらしい夏。でも、欲を言えば、二つの帆が気持ちよく滑る夏でないのは、物足りない。日照りと金鉱探しはひたすら暑かったよ。
読了日:08月15日 著者:アーサー・ランサム
When Patty Went to CollegeWhen Patty Went to College
19世紀末〜20世紀初頭くらいのアメリカの寄宿舎生活。有限だからこその喜びとおかしさと、せつなさがいい。いつの時代もどこの国もいっしょかもしれません。
読了日:08月14日 著者:Jean Webster
ヘンリ・ライクロフトの私記 (岩波文庫)ヘンリ・ライクロフトの私記 (岩波文庫)
晩年を散歩と読書と思索とでこんなふうに過ごせるなんて、贅沢〜。だけど、ちょっと偏屈なのでは?しょうもないことをブツブツと〜と、読みながら時々いらいら。共感し、のめりこむように読んだのは、四季折々の風景の喜び、本に対する思い。本棚を眺めて「ぼろをまとった巨匠たち」いい言葉だな。
読了日:08月13日 著者:ギッシング,平井 正穂
辺境のオオカミ (岩波少年文庫)辺境のオオカミ (岩波少年文庫)
ぼんぼん司令官がならずものたちの信を得て、やがては「仲間」とみなされるまでになる条件は、もしも人間関係に悩んだときにはかなり参考になるのではないかな〜(笑)と思ったのであった。いろいろありましたが、読後は爽やか。ローマンブリテン、ファンファーレ。
読了日:08月12日 著者:ローズマリ サトクリフ
ともしびをかかげて〈下〉 (岩波少年文庫)ともしびをかかげて〈下〉 (岩波少年文庫)
ローマンブリテン三作目。ひとときの平和に浸りながら、歴史にはハッピーエンドという言葉はないのだなあ、と感じさせてくれるラストの重々しさ。物語ごとに引き継がれてきた指輪の印象的な使われ方、父の子に対する思い、二人の女性の生き方、などなど・・・忘れられない場面がいっぱい。シリーズ中たぶんこれが一番!
読了日:08月11日 著者:ローズマリ サトクリフ
ともしびをかかげて〈上〉 (岩波少年文庫)ともしびをかかげて〈上〉 (岩波少年文庫)
なけなしの希望が一つずつ一つずつ、丁寧につぶされていく様子を読み続けるのは辛い。あかあかと燃える灯台の火がときどきよみがえってくる。闇に対する反抗のしるしとして。
読了日:08月10日 著者:ローズマリ サトクリフ
銀の枝 (岩波少年文庫 580)銀の枝 (岩波少年文庫 580)
シリーズ二巻目。指輪がこんなふうに受け継がれていたのか。地上から消えたワシが、こんな形で日の目をみた事は、しみじみ嬉しかったです。・・・しかし女性が出てこない物語でした。一番魅力的な女性は老ホノリア伯母さんでした。
読了日:08月09日 著者:ローズマリ・サトクリフ
第九軍団のワシ (岩波少年文庫 579)第九軍団のワシ (岩波少年文庫 579)
ローマンブリテン四部作の一作目。おもしろかった。気がついたら主人公たちについて「ワシ」を追い、先史時代のグレート・ブリテン島を縦断していました。「奴隷は歌を歌うことはあっても口笛を吹かない」という言葉から、今まで考えたこともなかった口笛を吹きたくなる気持ちなどにも気がつきました。ローマ人とブリトン人。文化が溶け合うことは難しい。双方に誇りがあればなおさら。でも民族を超えて、人と人が結びつくことはできるのだと思いました。双方に誇りがあればなおさら。
読了日:08月08日 著者:ローズマリ・サトクリフ
ウォーターランド (新潮クレスト・ブックス)ウォーターランド (新潮クレスト・ブックス)
人の一生は、何億年もの「歴史」と似ている。何度も何度も繰りかえしやってくる失意や苦しみ。それでも何度でもやり直す。長い時間をかけて、今度はもっとうまくやろう、と夢見る。これが「歴史(を学ぶこと)に何の意味があるか」の答えになるかな。
読了日:08月06日 著者:グレアム・スウィフト
ハムレット (新潮文庫)ハムレット (新潮文庫)
尊敬する父が死に、その後釜嫌いな叔父がすわり、母は叔父の妻に納まった。思春期の少年にはこんなにつらいことはないだろう。父が実は叔父に殺されたのだ、と知った時、ほっとしたんじゃないかな。叔父を公然と憎む理由ができて。だけど、あまりに純粋すぎる。オフィーリアはかわいそうだったし、レイアーティーズに対して「寛やかな心のうちにハムレットを温かく包み入れてくれ」とはあんまりだ。 王子と臣下の会話ならありなんでしょうか。古典の世界ではありなんでしょうか。
読了日:08月05日 著者:シェイクスピア,福田 恒存
オオバンクラブの無法者 (アーサー・ランサム全集 (5))オオバンクラブの無法者 (アーサー・ランサム全集 (5))
(再読) リアルな冒険はスリリングでおもしろいし、ノーフォーク湖沼地方の美しさも堪能したが、子どもたちの想像力たっぷりのごっこ遊びの世界がなつかしい。早く湖水地方に帰っておいで。
読了日:08月04日 著者:アーサー・ランサム
芸術新潮 2009年 08月号 [雑誌]芸術新潮 2009年 08月号 [雑誌]
トミ・ウンゲラー特集。絵本作家の顔しか知らなかったけど、なんてたくさんの顔を持った人なんだろう。そして、「やっぱりこの人、すごく変だ」(笑) でも、ここまで信念を持って変で、しかも表現する人だと、圧倒され、感動を呼ぶ。新しい絵本構想中だなんてわくわく。
読了日:08月03日 著者:
たそかれ 不知の物語 (福音館創作童話シリーズ)たそかれ 不知の物語 (福音館創作童話シリーズ)
物語の余韻にひたりつつ、本をとじれば、裏表紙には翅の欠けた蝶とんぼの絵。特別に温かい気持ちにしてくれた画家山内ふじ江さんの計らいにも感謝。
読了日:08月02日 著者:朽木 祥

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