Out of the Dust

Out of the Dust / Karen Hesse


邦訳本「ビリー・ジョーの大地」を図書館で予約したとき、英語版のこれをみつけて、一緒に借りてきました。
先に邦訳本を読んでいます。(和書の感想は、こちら)

邦訳本のあとがきで訳者、伊藤比呂美さんが、書店で英語版のこの本をみつけたとき、「ふてぶてしい顔の少女がこちらをにらみつけていて、それが、むかつくうちの娘になんとなく似ていて・・・」と感じた表紙がここにあります。
そうか、この少女の顔か・・・伊藤比呂美さんの娘さんに似ているのか。・・・でもわたしのビリー・ジョーのイメージとはちょっとちがうな、と思いながら、開きました。

邦訳本を読んだすぐ後だったので、読む言葉読む言葉が、読んだばかりの日本語で頭の中に蘇ってきます。飾らない、ほんとにシンプルな単語、短い文。そこにこもる言葉にならない思い。(原文を全く損なわない、伊藤さんの訳はいいな、と改めて思いました。)

そして、まるで、リレーのようにこの本で、もう一度、ビリー・ジョーの苦しみの足あとを辿りました。
最初の方の、父さんの冗談や、母さんに物を頼むときの策略など・・・なんだか遠い昔の懐かしい場面のようで切なかった。

ほーっと長いため息を吐き出すようにして、読了しました。
読後に残ったイメージが、茶色ではなくて、風にゆれるひなげしの花の赤なのが、うれしい。