Because of Winn-Dixie

Because of Winn-Dixie  / Kate DiCamillo


10歳のOpalのママは、Opalが小さいときに出て行った。Opalはママに会いたい。お話が好きで笑うことが好きだったママに会ったら聞かせたいお話をたくさんOpalは貯めている。
パパは牧師。でも彼は牧師の仕事と考え事に時間を使いすぎて、dadyでいる時間がない。
引っ越してきたばかりで友だちもいない。ひとりぼっちのOpalは寂しいのです。

そんなOpalがひょんなことから一匹の犬に出会う。彼の名前はWinn-Dixy・・・それは、彼と始めて出会った食料品店の名前。
ひとりぼっちが嫌いで、雷が嫌いで、Opalに尻尾をふり『微笑む』Winn-Dixy。
彼に会ってから、Opalのまわりでいろいろなことが変り始めます。彼といっしょにいることから友だちができてきます。
年齢の違う友達。
図書館員のMiss.Francy、魔女と呼ばれる老女Gloria 、内気なペットショップ店員のOtis、つんつんしたAmanda・・・
みんな見かけ通りではなかった。
それぞれがみんなひとりぼっち・・・

Opalのかわいらしさ。ひたむきさ。Winn-Dixyのとぼけたおかしさ、かわいらしさ。二人の愛がぐるーんと広がっていくよう。
とてもまっすぐなそしてシンプルな児童書です。
でも、むしろこのシンプルさにわたしは感動してしまう。

両親の離婚問題を扱った児童書はとても多い。
けれども、この本はそういうことを前面に出すのではなくて、重たいものを抱えていない人はだれもいないのだ、そして、そのためにときに自分で自分に鞭をあて、心の扉の一部を閉ざしてしまうこともあるのだ、とそういっているような気がします。
自分だけではないのだ。相手の重荷を知り、だからこそ相手に寄り添いたい、そう思うことでもしかしたら互いの重荷を軽くすることができるのかもしれません。
だれかのことを大切に思い、その人のために何かをしてあげようと思うとき、その思いが思いがけないほど大きな出会いの場を生むのかもしれません。
そして、閉ざした扉のなかの孤独がいつのまにか違うものにかわっていることもあるのかもしれません。

温かく幸福な気持ちで読了しました。