いつまでもとれない免許 〜非常のライセンス〜

Itu
いつまでもとれない免許 〜非常のライセンス〜
井田真木子 著
しりあがり寿 イラスト
集英社
★★★

いきなりワタクシゴトですみません。先月、うちの長女が運転免許証を取得しました。
そして、初ドライブにわたしと次女が同乗してしまいましたが、これがこわいのなんのって。
初心者ってこんなものだったのでしょうか!こんな裸の赤ん坊状態で教習所を追い出される 卒業してしまうのでしょうか。
だって、ウチの娘、サイドミラーが何のためについているのか知らなかったんですよ〜
おりしもカーラジオから流れてくるのは
    わたしの〜お墓の前で〜
        泣かないでください〜〜
初ドライブのBGMが「千の風になって」でした・・・


***

・・・そんな事情(?)のなか、手にとったのがこの本ですが、おもしろかったです。
読書で初笑い、おめでとうございますって感じ♪ 電車で読むのはちょっと恥ずかしい。笑いをこらえられないから。
最初の章の冒頭にアルベール・カミュの「異邦人」の一節を引き、そこに続けて、
  >・・・(カミュは)パリへ帰る途中、脇見運転のためか、道路わきのプラタナスに激突、即死。・・・
ですってさ。
これはないと思いません? これから教習所に通って免許を取るまでの顛末を記したエッセイを始めるってときに。
でも、激突、炎上しなかったのが不思議なくらいに大変な思いをして免許を取得されたのです。この本の著者は。
教習所ってこんなに長期間いられるものなのねえ、としみじみと実感したりして。


このエッセイを雑誌で連載し始めたころ、ある教官が著者に言ってくれた言葉
  >こういうことを言うのもなんだけど、
   免許をすいすいとって、外国で左ハンドルですいすい乗っちゃう奴って、俺、問題あると思うな。
   車ってさあ、無理を感じるじゃない。
   なんでこんなもんに乗っちゃったのかと思うじゃない。
   その常識的感覚を失ったら終わりよ。
いいこと言ってくれるじゃありませんか。
かくも長きに渡って教習所に籍を置いたおかげで、こんなに教官と仲良くなれたんだから、いいこともあったじゃないですか、としみじみ。
免許がなかなか取れない教習生、免許はとったものの赤子同然のドライバー(ウチの娘みたいなの)、
判断力が鈍くていつまでたっても車線変更が怖いオバサン(わたし)など、
ちょっと「?」なドライバーたちみんなでうんうんと納得してしまう言葉だと思います。


この本、教習所で販売したら売れるかしら? いや、教習所から教習生がいなくなっちゃうかな?
これから免許取得をとお考えのみなさま、だいじょう〜ぶです。
たいていは、こんなに大変じゃないはずです。たぶん。きっと。もしかしたら・・・

***


ウチの次女は歩行者(つまり自分)向けにこんな標語を作りました。
車を見たら姉だと思え
車はこわいんですよー、みなさま。
ドライバーのみなさん、お互いに安全運転しましょうね〜。