『野ブタ。をプロデュース 』 白岩玄

 学校って・・・確かに独特の雰囲気がある。常に何かを、誰かを演じていなければならないl場所なのかもしれない。
テンポのいい文章、つまらない漫才よりよっぽどおもしろい。だけど、そのセンスとユーモアの間にシニカルな目が見え隠れしている。

笑えないよ。傲慢な桐谷修二、君は人生なめきってるのか。ああ、これは今に破綻するぞ、と思っていたら、やっぱりね。
着ぐるみ剥がされ、転げ落ちていく最後20ページほどがすごい。ここまで時間をかけ、手間をかけて作り上げてきたものがあっけなく崩壊していく。痛い痛い、痛い。
痛い、と感じるのは、どこか共感するところがあるのです。着ぐるみのひとつやふたつ、持っていますよ、誰だって。着っぱなしじゃないけど、必要なときには装着しますもの。

ただラスト。ちょっとこれは、どうでしょう。
ありのままの自分、もろい自分に気がついた時点でもう一勝負してほしかったよ。
自分を成長させる何か、何か、何か。
ときにはリセットもいいよね。だけど、リプレイはいただけない、と思ったのでした。