『魔法使いのチョコレートケーキ』 マーガレット・マーヒー 

マーガレット・マーヒーと出会った記念すべき作品。そして、数々あるマーヒーの作品中一番好きな本です。
魔法のいい匂いと温かい作者のまなざしを感じる短編集です。どのお話も幻想的で独特の味があり、しかも美しいのです。こんな魔法にかかってみたいと思います。

魔法によって子どもの切ないささやかな願いがかなうお話、または魔法よりケーキ作りが上手な魔法使いのお話など、あっというまにわたしたちをからめとり、魔法の世界へとりこむその手腕のたくみさ。

収録の10篇(8編の物語と2篇の詩)の作品のなかで、娘は「遊園地」や「ゆうれい」の幻想的な美しさを好みました。
表題作「魔法使いのチョコレートケーキ」はさびしくなっちゃうので好きではないそうです。私はこれが一番好き。リンゴの木といっしょにお茶を飲むところがとても好き。「もう1杯どうだね」と言いながら。
それから「葉っぱの魔法」も好き。犬をとても飼いたがっている子どもたちに飼ってやれない複雑な親の気持ちもあって好きなの。


心に残ったフレーズ
>ゾウだって、種類によっては、らくにクルミのからのなかで群れになって暮らすことができるんだし、また、ネズミによっては、一ぴきで、星と星のあいだの広い場所を、全部占領してしまうのだってあるんだよ。
                            (「たこあげ大会」より)