『ミス・ビアンカ シリーズ2 ダイヤの館の冒険』  マージェリー・シャープ

囚われの人たちを慰め救出する「囚人友の会」の今回の課題は、
ダイヤの館で不幸な日々を送る8歳の少女ペイシェンスを救い出すこと。
ミス・ビアンカの説得のもと、友の会婦人部が活動を開始する。
しかし、心の冷たい大公妃の住むダイヤの館の恐ろしさは、みんなの想像を絶するものだった。
ダイヤの城に取り残されたミス・ビアンカとペイシェンス、孤立無援・・・

あいかわらず個性的で魅力的な登場人物たち。大胆な発想、劇的な構成。ユーモアと風刺。
ペイシェンスのおかれた境遇の描写がすごい。
ただ、大公妃にいじめられもてあそばれる玩具としてだけそばにおかれるペイシェンス。
また、さっさと帰って来た婦人部の口のぬぐいかたが凄い。やましさと負い目があるぶん、虚勢を張っても、自分たちを正当化する集団。どこにでもいますよね。
たった一人(一匹)、少女をけなげに励まし、大胆に脱出の機会を伺うミス・ビアンカ。一巻に比べて、逞しくなったように感じる。
冷静に考え、慎重に動き、いざとなったら思い切り大胆に行動に出る。
これを今回は自分ひとりでやったのですもの。
森の中の逃亡、追跡。なんとスリリングでどきどきしたことか。

そして、バーナード。(姫君にはやっぱりナイトでしょう)
  このナイトはしかし、驚くほど地味である。いざというとき頼りになるわけでもない(まあ、それほどには)
しかし、誠実で、姫君のためなら命も投げ捨てようという騎士道精神には、拍手です。

最後にミス・ビアンカが歌う子守唄の優しくて美しいこと。
「ミス・ビアンカと一緒に冒険しておいで」と、安心して子どもに手渡してやれる本だと思います。

しかし大公妃、その後、どうしたでしょうか。また別の子ども、さらってくるのでしょうか。ちょっと心配・・・