『ミス・ビアンカ シリーズ1 くらやみ城の冒険 』 マージェリー・シャープ

優雅な白ねずみミス・ビアンカ、勇敢な船乗りねずみニルス、誠実な家ねずみバーナードの3匹が、“囚人友の会”の要請により、断崖絶壁にたつくらやみ城の地下牢から詩人を救出する。

3匹の個性豊かなねずみたち(しかも勇敢)の持てる力を出し合い、互いに協力し合ってやりとげる冒険にはハラハラドキドキ。
特に(一見お荷物にしかならなそうな)お嬢様ねずみのミス・ビアンカの勇気と知恵と純粋な気持ちから発する土壇場の働きがすばらしかった。
ミス・ビアンカは本物のお嬢様だなあ。
3匹の友情とチームワーク、最高。

ハラハラドキドキ目を離せない冒険なのですが、なんとも可愛らしい物語なのです。
たとえば、城の中の3匹の隠れ家。居心地よくするため、壁紙を張り、マッチ箱などでベッドやいすを作るのです。
いよいよ去るときの大そうじもいいです。
そして、こうしたことに色を添えるのがガース・ウィリアムズの素晴らしい挿絵です。
隠れ家で3匹がくつろぐ絵は、その部屋の隅々の調度まで堪能させてもらいました。
すごく工夫された居心地よさそうなリビングです。(「床下の小人たち」――借り暮らしの小人の家を思い出しました。)

しかし、この囚人友の会って最高です♪
  >「くらやみ城にはいってからのことですが、」
   とバーナデットは、くそまじめなようすでききました。
   「具体的には、どうやって囚人を助け出すのですか?」
   「それはみなさんにおまかせします」
   議長ねずみは、さばさばといいました。
   「なにからなにまで、わたくしが考えるわけにはいきませんからね」