『トンデモネズミ大活躍』 ポール・ギャリコ

陶芸家が酔っ払って作った陶器のねずみ。
耳はうさぎのように長くてしっぽがない。カンガルーのような後ろ足と人間の手のような前足。真っ青な体の色、耳の内側は目の覚めるようなオレンジ色。

これがトンデモネズミ。 夜中に陶芸家の家を飛び出していろいろな冒険をする。
そして出会う動物たちに、「トンデモネズミは、トンデモネコのものさ」といわれる。
やがて、トンデモネコに出会い・・・

意気地なしのトラを助ける話が一番おもしろかった。
間違えて開いている檻の扉から、つい外に出てしまったが、町の中は大変なさわぎ。怖くて戻れない、どうしよう・・・

ほんのわずかな知恵と勇気、大きな思いやり。そして、真っ正直な純粋さ、これがトンデモネズミ。

その都度、危機をどうにか切り抜けるのだけれど、振り回される人々のお間抜けさと、それをどこかで腹を抱えて笑いながら見ている人たちがいるような、皮肉っぽい匂いがする。

この話は、どんなふうに読んだらいいんだろう?
なんだかへんてこな話、夢の中の物語みたいで。
ひとつひとつのエピソードはそれぞれおもしろいのだけれど、最後のトンデモネコとの関わり方が好きではありませんでした。
なんとなく納得できないのよねえ。
最後まで読んでなんとなく狐につままれたような気持ちになり、それを見て誰かがどこかで笑っているような気がしてきた。