『牛追いの冬』   マリー・ハムズン

「小さい牛追い」の続編。
ローラ・インガルス・ワイルダーのシリーズに通ずるような気がする暖かくて生き生きとした農場の生活は、前作と同じ。

優しくて賢くて、働き者、しかもユーモアを常に忘れないおかあさんが素敵だ。
おとうさんがおかあさんを「娘さん」と呼ぶところ、いいなあ。

前作以上にユーモアがいっぱいで、爽やかに声を上げて笑わせてもらった。
リンドグレーンの「やかまし村のこどもたち」をちらと思い出す。

四人の子どもたちの中で、上の二人の男の子オーラとエイナール、性格がまるっきり違うこの二人の対比が楽しい。
笑いはいつもエイナールから。しかも、本人は至って真面目なのがいい。
オーラ。妹のマルタが肺炎で死ぬかも知れない日、学校からの帰り道、融け掛けた雪道を歩きながら、
「もし茶色いところへふみこまないで、白い雪の所だけで、二十歩あるけたら、まだマルタは生きている。」
垣根にとまったカラスが、五十数えるまでそこにとまっていたら「もうたしかに、じぶんが家に帰るまで、マルタは生きていると思っていいのだ」
と考えながら行くところがいじらしい。いとしい子。
二人の女の子たちも前作より大きくなり、性格もはっきりしてきた。妹をかばうインゲリドがかわいい。

インゲルのことも、うれしかった。

輝くような子どもたちの日常のなかに、さまざまな苦さがおりこまれていて、子どもたちは勇気をもって、乗り越えていこうとしている。
まだまだ続きを読みたい。ランゲリュードの次の年の夏も一緒にすごしたい。と思いました。

実は作者の夫は、ノーベル賞作家のクヌート・ハムズンで、この作品は、若き日のハムズン一家の家庭生活を映したものだそうです。