『小さなソフィーとのっぽのパタパタ』 エルス・ペルフロム

 

小さなソフィーは重い病気でずっとベッドに寝たまま。でも、ソフィーには知りたいことが沢山あった。
ある晩のこと、静かにしていると、棚の人形や動物たちが動き出し、小さな舞台の上で人形劇を始めようとしていた。ソフィーは、「わたしもそのお芝居に出るわ!」と舞台にあがる。大好きな人形、のっぽのパタパタが舞台にのぼったから。
劇のテーマは「人生でなにが手に入るか」だということも、ソフィーが出演したい理由になっている。それは彼女の知りたいことだったから。
舞台はたちまち、広い世界に変っていく。ソフィーは、お馴染みの人形や猫といっしょに旅をしていく。次々に事件が起こる冒険の旅。


小さな子どもが楽しめる童話であるが、そのわりに厳しいお話に驚く。
ソフィーの大好きな道連れは、頼りになるような、ならないようなで、みんな、かなり自由だ。
仲間を見捨てて行きずりの女と駆け落ちしたり。
彼らが旅する世界も世知辛い。貧富の差が激しく、困っている人が浴びるのは、人びとの無関心。牢屋でまかり通るのは賄賂。
道連れも、道中出会う人たちも、絵に描いたような善人ではない。なんてシビアなのだろう。


主人公ソフィーは、ずっと病気で、誰かに助けてもらわないでは、日々をすごすことができなかった子だけれど、大好きな仲間の役に立ちたい、助けになりたいと思っている。その気持ちは美しいと思うけれど、この自由気ままなメンバーの間では、なんとなく空回りしているようだ。
たぶん……誰かに尽くしたいと思う気持ちそのものが、「誰か」への、そして「尽くす」という行為への、まるごとの依存になっているのではないだろうか。(その前に、自分自身を助けようよ、といったらいいか)


いろいろなことを経験しがなら、ソフィーは成長している。ソフィーは「人生でなにが手に入るか」ちゃんとみつけたのだから。それは、彼女の凱歌のよう。
思いがけないことも起こるが、受け止められる場所へ導かれている。作者から若い読者に寄せる、深い信頼と励ましでもあると思う。
旅は終わらない。