12月の読書

12月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:1646

かぜは どこへいくの (世界の絵本)かぜは どこへいくの (世界の絵本)感想
どんなものも「ぐるぐる ぐるぐる つづいていく」のだと気が付くことは、ほんとうは世紀の大発見だと思う。だけど、こんなにもゆったりと、「いい一日だった」という言葉とともに、からだに沁みていくような了解の仕方は、つくづく心地よい。穏やかな夕べだ。
読了日:12月28日 著者:シャーロット・ゾロトウ
チャンス: はてしない戦争をのがれてチャンス: はてしない戦争をのがれて感想
ウリは小さなころから絵を描くことが好きで、得意だった。長い苦しい旅の間(その後も)いちばん大切な友だちは、絵だった。ウリの絵に相当するような、(ほかのどんなものでもいい、その人にとっての特別な)友が、自分の中や傍らにいて、一緒に歩いてくれるなら、道中の景色も変わって見えるかもしれない。
読了日:12月26日 著者:ユリ・シュルヴィッツ
クリスマスの幽霊 (WESTALL COLLECTION)クリスマスの幽霊 (WESTALL COLLECTION)感想
(再読)工場の様子は、その暗さまで含めて、(「わたし」が感じていたように)怖ろしいよりも、わくわくするミラクルワールドに思えてくる。温かいと感じるのは、工員たちの子どもに対する眼差しのせい。町と家となかなか眠らない工場と。全部ひっくるめて暗がりの中に灯りがともりちかちか輝くような嬉しいクリスマスの幽霊譚。
読了日:12月22日 著者:ロバート・ウェストール
雲をつかむ死 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)雲をつかむ死 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
空に浮かぶ密室での殺人だが、飛行機が空港に着いてからの関係者たちのドタバタした人間関係がお祭りみたいで、群像劇を楽しむような気持ちで読んでいた。後になってしみじみと思いを馳せるのは、徐々にあきらかになってくる被害者が関わった過去の出来事と、そこから生まれた不幸と。事件の影に見え隠れする、幸薄い人のことだ。
読了日:12月18日 著者:アガサ・クリスティー
部活で俳句 (岩波ジュニア新書)部活で俳句 (岩波ジュニア新書)感想
第一章の「踊る俳句同好会」小説を読むようなおもしろさだった。そして、俳句で写生すること、「毎日瞬時瞬時に展開する何万のカットの中のあるひとつを、僕らは「気づいて」拾い上げることができるか」「僕らは本意だの古典だのの感動に気遣うことなく、自分個人の体験を堂々とわがままに詠えばいいのです」心に残る言葉。
読了日:12月17日 著者:今井 聖
待ち合わせ (Modern&Classic)待ち合わせ (Modern&Classic)感想
思えば、みんな「待ち合わせ」をしている。相手が知っているかどうかは二の次の待ち合わせが、混線している感じだ。これをほどくための鍵は、主人公も知らない大きな待ち合わせの渦中に、主人公もろとも読者もほうりこまれていることに気がつくこと、かな。どうにも不思議な人たちとお近づきになってしまったような気がする。
読了日:12月13日 著者:クリスチャン・オステール
オイモはときどきいなくなる (福音館創作童話シリーズ)オイモはときどきいなくなる (福音館創作童話シリーズ)感想
「なんかさー、いやーなかんじにひんやりしてくると、いっつもなんかこのさみしいようなつらいきもちの、なんかいいにおいするよね」とモモヨはいう。この町にも冬が来るけど、ときどきいい匂いがする時間があったらいいな。他愛のない一コマ一コマの重なりが、いいにおいを連れてくる。
読了日:12月10日 著者:田中 哲弥
富岡日記 (《大人の本棚》)富岡日記 (《大人の本棚》)感想
『富岡日記』というタイトルから、女工哀史のような、悲惨な奴隷労働の記録を思っていたのだけれど、まるで寄宿学校の女学生たちの日記を読んでいるよう。明治の時代の少女たちのちょっと変わった青春の記録。手に職を持ち、自分の腕一本で周囲の信頼を勝ち得て、意気揚々と働いた、輝かしい日々の記録。
読了日:12月09日 著者:和田 英
とびらのむこうに ドラゴンなんびき?とびらのむこうに ドラゴンなんびき?感想
エンドウ豆の赤ちゃんみたいなお姫さまたちと、気のいい犬みたいでなドラゴン。抱きしめたくなるかわいさだ。起こる事件も、それぞれの困惑も、ドキドキするよりほほえましい。緑がいっぱいの画面に、散らばる赤がきれいで、絵本全体が春の野原みたい。ここで日がな一日遊びたい。
読了日:12月02日 著者:ヴァージニア・カール

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