『カメレオンのレオン 小学校の秘密の通路』 岡田淳

 

桜若葉小学校の中庭にある大きなクスノキは、この世界と別の世界とつながっている。こちらの世界の人間には知られていないけれど、あちらからは時々、こちらの世界に出入りするひと(?)がいる。
あちらからの思いがけないお客さんがやって来るたび、こちらの世界にはちょっとした騒動が起こる。
それを解決するために、あちらからやってくる「たんてい」が、カメレオンのレオンだ。
カメレオンのレオンは、姿を変えられる。たいてい人の姿で登場するが、テントウムシになっていることもある。
あちらの世界についても、レオンについても、まだまだわからないことがたくさんあるけれど、それなりにいろいろなことがわかってくる、『カメレオンのレオン』シリーズ二作目。


桜若葉小学校の子どもとたんていレオンが協力して、事なきを得た出来事が四つ。
あちらの住人とこちらの住人は、姿が変わっているだけに、その生活の仕方も、善悪の基準などもちょっとずつ変わっているようだ。
あちらの「たんてい」は、事件の納め方も、ちょっと変わっているので、その手順(?)を追いかけるのも楽しみだ。
はからずも、あちらからきた不思議に出会った子どもたちは、話したって誰も信じてくれないだろうと(そもそも自分自身が一番信じられないのかも)、話さないでいるので、大抵の人は、この小学校に不思議なことが起るなんて思わないのだ。
ごく普通の小学校です。


ごく普通の小学校で、服を着たヒキガエルを見たような気がしたり、その時そこにいるはずがない人に会ったり、声が独り歩き(?)するのに気がついたり、ツボ押しの天才が変わった背中に出会ったり、または手のひらに乗るくらいの人に耳元で呼ばれたような気がしたり……それはほんとうに気のせいでしょうか。
ちょっと不思議な気のせいに、いつか自分も出会えかもしれないと思っていたら、楽しいと思う。
この辺では……近所の神社の大楠、あやしいと思うのだけれど、どうかな。