『草原のサラ』 パトリシア・マクラクラン

 

 

『のっぽのサラ』の続編。
アンナたちのパパとサラの結婚式の場面から始まる。夏の美しい日で、「みんなとっても幸せでした」
ところが、サラがやってきて二年目の夏、草原は大干ばつに見舞われる。照りつける太陽の下、草原は茶色になった。井戸も池も次々に干上がってく。雨は一滴もふらない。
ご近所たちは、次々に馬車に家財道具を積んで出て行った。


サラの故郷メイン州の海辺の町は、緑と花がいっぱいで、何よりも海があった。本当に美しかった。
アンナとケイレブの姉弟は、サラに連れられて汽車で三日三晩かけてここにやってきた。
アンナは思う。
「サラがここに住めなくなってどんなにさびしかったか、よくわかりました。わたしもうちに帰れなくなってとてもさびしい」
それは、日照りの大草原に一人残ったパパの「この土に、わたしたちの名前が書いてあるんだよ」という言葉と一緒。
そして、いつも故郷を懐かしがっていたサラの思いとも、一緒なのだ。
枯れた大地だろうが、緑と青い海に囲まれた大地だろうが、その地を愛する人だけが知っている豊かさがある。
目に見えても見えなくても、その人は、自分の大地に名前を書く。
それは、たった一つである必要はない。


訳者あとがきによれば、作者マクラクランは、『のっぽのサラ』を書き終えた時、続きの物語を書こうとは思っていなかったそうだ。
けれども、熱心な多くの読者が作者を動かした。
二作目が生まれてよかった。その後の家族の様子を知ることができてよかった。
日本語で読めるサラのシリーズは、この二冊しか今のところない。
だけど、このあと、三冊の続きの物語が書かれている。いつか日本語で読めますように。