1月の読書

1月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2284

ビッグフィッシュ―父と息子のものがたりビッグフィッシュ―父と息子のものがたり感想
父さんが神話になったのは、父さんひとりの手柄ではない。そこに、父さんと一緒に笑い転げ、物語を心から楽しんできた息子がいたからで、神話を作り上げたのは、父と息子、ふたりなのだ。最後のお話がすばらしい。神話、という言葉はほんとにふさわしいかもしれない。生きる日も死ぬ日も祝うべき日と思う。
読了日:01月30日 著者:ダニエル ウォレス
黄色の扉は永遠の階 (第三の夢の書)黄色の扉は永遠の階 (第三の夢の書)感想
前・前々巻から、気になっていたいろいろな謎が、ここで一気に解けていく。だけど、それよりも……思いがけない人たちの思いがけない面が、いきいきとがたちあがる感じがおもしろい。主人公の姿が一気に霞むほどに、一筋縄でいかない、したたかな人たちに幸あれ。
読了日:01月27日 著者:ケルスティン・ギア
自転車泥棒自転車泥棒感想
一台の自転車にはその自転車だけが持つ物語がある。自転車をレスキューする事は、記憶、物語もレスキューすることでもあるように思う。さらにはレスキューしようとする本人をレスキューしているのかもしれない。透明感と不穏さとをはらんだ静かな美しい文章、記憶の中の中華商場のいかがわしい賑わい。物語に籠る気配もとても好き。
読了日:01月24日 著者:呉明益
キジムナーkidsキジムナーkids感想
戦後すぐの沖縄。読んでいる方がひやっとするような危険な悪さを繰り返す悪童五人組は「お国」に無理やり戦争に引っ張り込まれ、やっと生き延びたのに、戦争が終わった後にもアメリカ―に続きの理不尽な悪夢を押し付けられている。それでも彼らは笑う。何度も子どもたちの剽軽さに笑い、したたかさに舌を巻き、逞しさに驚かされた。
読了日:01月20日 著者:上原正三
永遠の道は曲りくねる永遠の道は曲りくねる感想
なぜ人間はそんなにも残虐になれるのだろう。残酷さこそ人間らしさなのだろうか、そんなことを考えていた。心に残るのは、文化が人を癒すこと、戦争の終焉を促す力になる、ということ。光の条となって「水の惑星」の上をわたって行く宇宙ステーション。地上では記憶を携えた女たちのゆっくりとした歩み。湧き上がってくる清々しさ。
読了日:01月18日 著者:宮内勝典
みすず 2018年 12 月号 [雑誌]みすず 2018年 12 月号 [雑誌]感想
「戦争と児童文学5 空爆と暴力と少年たち3 『弟の戦争』--遠い戦争への共感共苦とは何か」(繁内理恵)を読む。(湾岸戦争当時のアメリカの)普通の家庭の中に(わたしたちのもとに)どうやって戦争はやってくるのか。弟フィギス(とイラク少年兵)の絶対的な孤独を手をこまねいて見守るしかなかった兄を通して届く共感共苦。
読了日:01月12日 著者: 
弟の戦争弟の戦争感想
再読
読了日:01月12日 著者:ロバート ウェストール
西欧の東 (エクス・リブリス)西欧の東 (エクス・リブリス)感想
救いのない状況、楽観できるはずのない状況であるのに、じめじめした暗さはない。あちらこちらに鏤められたユーモアのかけらが、頑ななものをゆるめ溶かしていくように感じる。八つの作品には見え隠れする入れ子の物語(神話、御伽噺、詩)があり、一篇一篇の作品を多層的にしているようだ。奥のほうに静かで仄明るい空間がある。
読了日:01月09日 著者:ミロスラフ・ペンコフ

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