11月の読書

11月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2245

十一月のマーブル十一月のマーブル感想
始まりは、「左利き」だった。物語はそんなところから、始まる。「そんなところ」はさまざまな「ちがう」の入口だ。ちがうことが、困難よりも、楽しいと思えるようになるには、どうしたらいいのだろう。子どもたちには未来がある。一人の子どもに「未来」という名前を贈った作者の願い、祈りが、物語の先へと続いている。
読了日:11月30日 著者:戸森 しるこ
定本 黒部の山賊 アルプスの怪定本 黒部の山賊 アルプスの怪感想
山賊たちとの交流の記憶を紐解きながら、同時に山小屋の暮らしについて語る。山の伝説や、不思議譚、それから山の動物たちのことなど。忘れられない登山者の思い出、山小屋の夜、火にあたりながら、ぽつぽつと聞いているような気持ちになる。語り手たる著者自身こそが、ほんとうは山賊の頭目のように思えてくる。頼りになる山の頭目
読了日:11月13日 著者:伊藤正一
マン島の黄金 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)マン島の黄金 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
新聞や雑誌掲載の初出の後、長いこと日の目を見なかったという九つの短編を収録したイギリス版(作品ごとに編者の「あとがき」つき)に、独自の三篇を加えた短編集。これもアガサ・クリスティー?と驚くような、ちょっと風変わりな作品が多くて、新鮮だった。
読了日:11月11日 著者:アガサ クリスティー
いっしょにいこういっしょにいこう感想
最後は、予想していたし、やっぱりね、と思ったはずだけれど、読み終えたときには、思いがけないくらいに満たされていた。子どもと過ごす時間は、なんて上等なんだろう。こんな時間を犠牲にして急がなければならないほど大切な用事、ほんとうはどれほどあったかな。ともう一度考え直してみたい。
読了日:11月09日 著者:ルース・リップハーゲン
風の丘 (新潮クレスト・ブックス)風の丘 (新潮クレスト・ブックス)感想
土地や家、といえば、伝統とか仕来たりという言葉が思い浮かび、つい、その重さや煩わしさに、尻ごみしてしまうが、丘に対する一家あげてのとことん深い思いを読んでいると、羨ましいような、憧れのような気持ちが湧き上がってくる。どこで暮らしていたとしても、根っこになるものがあるって信じられるのはいいものだ。
読了日:11月08日 著者:カルミネ アバーテ
赤毛のゾラ〈下〉赤毛のゾラ〈下〉感想
陰になり日向になり彼らを助け、味方する大人たちは、町の実力者やそのとりまきたちに、ごっそりと搾取される側だ。権力者や警官たちをだしぬき、なにものにもしばられず、策略を練り、やりたいことをやりたいようにやってのける彼らに、喝采してしまう。物語には終わりがあるが、ゾラとともに「ウスコックは不滅」と叫びたい。
読了日:11月06日 著者:クルト ヘルト
赤毛のゾラ〈上〉赤毛のゾラ〈上〉感想
ブランコを含めて合わせて五人の仲間たちは、それぞれさまざまな事情から身内も帰る家もなく、徒党を組んで、盗み(食べる分しか盗らないとゾラはいう)をするので、町の人たちからは、ごろつき、と嫌われていた。だけど、彼らには、彼らなりの誠意と正義感がある。誇り高い英雄ウスコックの騎士の名を名乗り、町のなかを駆けまわる。
読了日:11月06日 著者:クルト ヘルト
小さな白い車小さな白い車感想
彼らは、揃っていかれている。そのうえ、いろいろなことが(お金だけではなく)自転車操業で忙しそうだ。もうちょっとうまいことやれないものか。だけど、ちょっと羨ましいのは、彼らのそれぞれが大切に温めている、それぞれの夢。胸の中に持っている堅固な城が目に見えるようだ。幸せな人たちなのかもしれない。
読了日:11月02日 著者:ダン・ローズ

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