『ダーウィンの「種の起源」:はじめての進化論』 サビーナ・ラデヴァ

 

ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化論
 

 

長い長い年月、さまざまな条件のもとに、生きものはからだの器官を変え、種の姿を変え、ときどき失敗しながら、進化を続けてきた。その進化の樹形図は「大きな<生命の木>」だ。


「   枯れた枝や折れた枝が
  大地につみかさなるいっぽうで、
  たえず伸びつづける枝が、美しい
 樹形図をつくって地表をおおうのだ 」


とても美しい絵本。絵も色も、そして文章も。


野を跳ねるたくさんのうさぎたちは、よく見れば、みんな少しずつ様子が違っている。


それから、ハト、オオカミ、ゾウやバラの花が群れになり、一種ずつ、それは美しい背景のもとに登場するる。これらは、いったいどんな進化の話に繋がるのか。


進化の「自然選択」によって、あまり役にたたない器官がうまれることがある一方、「眼のように、理解しきれないほどかんぺきな構造をもつすばらしい器官がうまれることもあるのだ」
眼がどんなに「最高にかんぺきな器官」であるか、あらためて絵と言葉で説明されると、当たり前だったものの奇跡に驚いてしまう。


読んでいると、自分が、先祖たちからの奇跡のバトンを引き継いできた、奇跡の存在に思える。
遠い過去から、無数に枝分かれした細い道の最良の一筋を選んで進んできた、かけがえのないひとり。
その道筋は、大きな叙事詩のようだ。


……そもそも生命はどのようにして始まったのか。この本を読んでいると、普通に生まれてくる疑問だ。だけど、それは、ダーウィンにもわからなかったそうだ。
いつの日にか、この疑問の答えがみつかるのだろうか。
「とおい未来に、さらに重要な
研究分野が広がっているのが見える……
人間の起源とその歴史についても
光があてられることになるだろう」