『ふたりっ子バンザイ』 石亀泰郎

 

ふたりっ子バンザイ―石亀泰郎写真集

ふたりっ子バンザイ―石亀泰郎写真集

 

 

写真のなかの、年子の兄弟は、一緒に哺乳瓶で牛乳を飲んで、お風呂も一緒で、並んで眠る。
どのページも、二人一緒の写真だ。
ころころといっしょにいる。
何を考えているんだろう。ただなんとなく一緒にいるだけで安心するのかもしれない。
子熊の兄弟みたいだな。
弟が泣くからおにいちゃんも泣きたくなってしまう。並んで泣いているのに、その泣き顔の違いが愛おしい。
部屋のなかに入ってきたハエを並んで見上げる表情は、兄弟おんなじようだ。
兄の手にしがみついたカエルを息をつめて見守る二つの顔。
どの写真からも、子どもたちが呼吸する小さな音が聞こえてくる。肌の弾力が、温かさが伝わってくる。


きょうだいって、おもしろいよねえ。
しょっちゅう喧嘩するから、「そんなに喧嘩ばっかりするなら少し離れていなさいよ」というのに、不思議に一緒の空間にいたがった。肌をひしっとつけあうほどに。離れたらどうかなっちゃう、どうか離さないで、といわんばかりに。
それは、いつかどこかにいた小さなきょうだいのことだけれど、本のページを繰っていると、思い出す。


箱型(?)の乳母車、子ども用の小さな椅子。壁にかかった箒やちりとり。ダイヤル式の黒電話。角の丸い冷蔵庫や、大鍋みたいな炊飯器など……子どもたちの背後に写る家の内外の様子が懐かしい。