『きぼう―HOPE―』 コーリン・アーヴェリス/セバスチャン・ペロン

 

 

コメットは大きな犬で、男の子のフィンといつも一緒だった。
だけど、ある時、具合が悪くなり、起き上がることもできなくなってしまった。
コメットは、獣医さんにあずけなければならなくなってしまったのだ。
コメットのことが心配で、フィンは元気になれない。
「なにか ぼくに できること、ある?」
フィンの問いかけに、パパはこう答える。
「あるよ。きぼうをもつことだ」


希望をもつ。
本当にうちひしがれているときには、それはどんなに難しいことか。
また、それは、何もしないことと、どう違うのだろうか。


ともすれば、悲しみがあふれてしまいそうな一日一日の生活のなかで、小さなフィンが「きぼう」をもとうとすること、持ち続けようとすることの困難さに、胸がいっぱいになる。
「希望」って本当は何なのだろう。どういうものなのだろう。
考えないではいられなくなってしまう。


ただ、静かに絵本は語りかけてくる。
やわらかい色づかいは、男の子を照らす、眩しすぎない光のようだ。
強くてやさしい絵本だと思う。