『全国 大人になっても行きたいわたしの絵本めぐり』

 

全国 大人になっても行きたいわたしの絵本めぐり

全国 大人になっても行きたいわたしの絵本めぐり

  • 発売日: 2020/03/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

いやな風が吹いている。不安ばかりの日々である。
図書館にも書店にも、行けなくなってしまっている今、この本はうれしい窓のようだ。


この本で、豊富な写真とともに紹介されているのは、全国津々浦々、絵本屋さんを中心にした、図書館、美術館、カフェやテーマパークまで、絵本や児童書に関わる様々な施設なのだ。
今は無理でもいつか、そこに私もいってみたい。


新しい本に実際手に触れることができなくても、ただ本がたくさんある空間に身をよせることが、間接的にであれ、こんなにも気持ちをリラックスさせるのかと、しみじみと感じている。
各お店(施設)の絵本、児童書たち、あるいはおなじみのキャラクターたちは、それぞれの店主さんこだわりの棚から、こちらに語りかけてくる。絵が、色が、あるいはむしろ絵がないことが、さあさあおいで、と会話に誘っているように感じる。


今、休業中の大好きな絵本屋さんたちの名前を、この本のなかで見つけた。今度そこに行けるのはいつだろう、と思ったり。
ネットの友人たちのおかげで知った遠くの絵本屋さんの名前にも出会った。行ったこともないのに、懐かしいような気がしたり。
そして、今まで名前さえも知らなかった、たくさんの素敵な絵本屋さん(や、そのほかの施設)がなんてたくさんあることか。


たとえば、
「押し売りは御免だが」と前置きしながら、店内のお客さんに「読みましょうか」と声をかけてくれる「押し読み」に積極的だという、えほんやなずなさん。
「ほかの本屋ではあまり見かけないめずらしい絵本と出会える」というニジノ絵本屋さん。
「時の流れに埋もれてしまった魅力あるものを掘り出す楽しさや、時を経ても色褪せないものの良さを感じてほしい」というカタリ文庫さん。
デフォー子どもの古本屋さんは、「子どもたちが買えるぐらいの安価な絵本や児童書を提供したい」という。
長谷川義史あおきひろえ夫妻のギャラリー空色画房さんでは、絵本『シバ犬のチャイ』のモデルになった愛犬チャイに会えるかもしれないって。


この本に紹介されている以外にも、素敵な、そして頼りになる絵本屋さんやギャラリーはたくさんある。そうしたお店も含めて、いつか、ちょっと先の大丈夫な頃、お天気の良い日に、電車やバスを乗り継いで、絵本めぐりに出かけていこう。そう思いながらページをめくる。


今思いついた。この本に載っている絵本屋さんに通販で絵本を注文しよう!(受けてくれるかどうかまずは確認しなくてはね)
あのお店このお店にいったつもりで、お店にとっての「思い入れのある絵本」(この本にリストアップされている)を一冊お願いしよう。