6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:2929

ミスター・ピップ (EXLIBRIS)ミスター・ピップ (EXLIBRIS)感想
(再読)
読了日:06月28日 著者:ロイド ジョーンズ
ピンクとグレー (角川文庫)ピンクとグレー (角川文庫)感想
巻末の著者インタビューのなかで、「ごっちとりばちゃんは同一人物と言っても過言ではないくらい……」という言葉を見付け、あ、そうか、と納得した。もともとひとりであるべき人間が、二人という姿に分裂したのなら、元通り、一つに戻せないものか。 この物語は、戻す作業なのだとそう思ったが、その戻し方がわたしには納得できない。
読了日:06月26日 著者:加藤 シゲアキ
オルガとボリスとなかまたち (みちくさパレット)オルガとボリスとなかまたち (みちくさパレット)感想
いつもの仲間との日々と、素敵なモルモット仲間との出会いと。仲間たちを相手に、刑事(?)になったり、お姫様(?)になったり、そして何よりも素敵なストーリーテラーとして、大活躍のオルガなのだ。オルガの世界ときたら小さな(居心地の良い)小屋のなかだけなのに、彼女の居場所が、限りなく広い世界に思えてくる。
読了日:06月25日 著者:マイケル・ボンド
モルモット・オルガの物語 (みちくさパレット)モルモット・オルガの物語 (みちくさパレット)感想
態度も大きいけれど、想像の世界のスケールだって大きいオルガ。友人たちの知っているリアルな外の世界がむしろ貧相に思えてくるほどに。オルガからこぼれる諺やスローガンが好きだ。「いま口のなかにあるシロツメクサは、しばふにはえているシロツメクサふたくちぶんのねうちがある」「たくさん食べて少しだけ考える」
読了日:06月22日 著者:マイケル・ボンド
不時着する流星たち不時着する流星たち感想
十の物語に登場する人たちはもしかしたらこの世ではないどこかにもっと生きやすい場所があるのではないか。でも、彼らは、なんて透明で善意の人たちなのだろう。ずっと見つめていると苦しくなるほど。十の物語のあとに必ず付された一項目が興味深く、それの何がどのように物語とリンクしているのか、確認するのも楽しみだった。
読了日:06月21日 著者:小川 洋子
子どもの涙―ある在日朝鮮人の読書遍歴子どもの涙―ある在日朝鮮人の読書遍歴感想
子どものころのことを、その頃愛読していた本を通して振り返る。著者にとって読書は、ただ楽しみではなかった。著者の言葉の一言ひとことが、わたしには痛いようだった。そうした彼から、「自分が在日朝鮮人であるということ、その疎外を意識してこそ前進が可能になるのだ」という言葉を引きだしたのも、貪るように読んだ本からだ。
読了日:06月18日 著者:徐 京植
みすず 2019年 06 月号 [雑誌]みすず 2019年 06 月号 [雑誌]感想
連載『戦争と児童文学7 基地の町に生きる少女たち『ピース・ヴィレッジ』~沈黙を解除する「語り」』(繁内理恵)を読む。今回は空爆や虐殺のさなかを生きぬこうとする戦争の物語とは違う。平和という言葉で蓋をされて見えなくされている戦争、見えないふりをしてやりすごす戦争に、子どもは見えない巻き込まれ方で巻き込まれている。
読了日:06月16日 著者: 
ハロー、アメリカ (創元SF文庫)ハロー、アメリカ (創元SF文庫)感想
メイフラワー号を彷彿とさせる蒸気船。馬とともに西を目指して進む探検隊。まるで、アメリカの開拓史を早送りで再現してみせているよう。夢という言葉は美しい。でも、狂気が塗されて夢は呪いに変わるのだと思う。もしかしたら、夢そのものが、狂気なのかもしれない。そんなことを考えてしまうと冒険物語の面白さが苦さに変わる。
読了日:06月14日 著者:J・G・バラード
ノロウェイの黒牛 -イギリス・スコットランドのむかしばなし (世界のむかしばなし絵本)ノロウェイの黒牛 -イギリス・スコットランドのむかしばなし (世界のむかしばなし絵本)感想
黒々とした森、険しい崖、暗い夜。暗い場面が多いが、その分、白っぽい人影や灯りが際立つ。小さな木の実のなかに籠る明るい幻想的な光景。娘のもつほがらかな気質は宝だ。もじゃもじゃの毛の猛々しい黒牛の姿がのしかかるように描かれているが、最初に登場した時から目をひくのは、牛の瞳だ。澄んだ青の瞳の美しさが印象的だった。
読了日:06月11日 著者:なかがわ ちひろ
フクロウの家フクロウの家感想
作家、画家、彫刻家として活躍するかたわら、環境保全活動にも熱心に取り組んできた著者であるが、フクロウとの関わりは長い。著者が(子どもの時から大人になってまで、様々な場所で様々な方法で)関わったフクロウたちとの思い出を語るくだりは、とくに印象に残る。フクロウに心許された人の静かな友情の証、とも思える。
読了日:06月09日 著者:トニー・エンジェル
夢見る人夢見る人感想
パム・ムニョス・ライアンの文章とピーター・シスの絵とが手を結び、ネフタリ少年の思い描く夢の世界のなかに、読者を飛ばす。はるかな広がり。激しい力では、決して征服しつくせないものがここにあるのが見える。それはきっと詩の種みたいなものじゃないか。芽を出させるのは、読者それぞれではないだろうか。
読了日:06月06日 著者:パム・ムニョス ライアン
ブラウン神父の童心【新版】 (創元推理文庫)ブラウン神父の童心【新版】 (創元推理文庫)感想
言葉の迷路をふらふらしながらその意味を探している、というイメージのミステリだ。探偵役が神父だからか、罪びとたちに対する独特のまなざしがあると思う。また、物語をしばし忘れて溜息をついてしまう印象的な情景がある。『飛ぶ星』の月光に照らされた庭のひときわ輝きを放つ人影や、『サラディン公の罪』のゆるやかな船遊び。
読了日:06月04日 著者:G・K・チェスタトン
短編小説をひらく喜び短編小説をひらく喜び感想
『短編小説をひらく喜び』というタイトルがいいなあ。読む、ではなく、ひらく。新しい本のとびらをそっとめくる、新しい出会いを期待するどきどきが、伝わってくる「ひらく」という言葉。この本は、宝(これから読んでみたい短編小説や、短編集)のありかを記した地図でもあるけれども、それ以上の宝は、著者の短編小説への思いだ。
読了日:06月02日 著者:金井 雄二

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