5月の読書

5月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2713

ほうかご探偵隊 (創元推理文庫)ほうかご探偵隊 (創元推理文庫)感想
再)ほとんど物語を忘れてしまい、曖昧な記憶がくっついたり変容したりして、犯人だと思っていた人は違っていたし、こういうことだったはずだ、という確信もあちこち間違っていた。あれこれの混乱を正しながら進む楽しい再読の旅だった。読み終えた時、不用品はやっぱり不用じゃないやと思えてうれしかった。
読了日:05月31日 著者:倉知 淳
ミゲル・ストリートミゲル・ストリート感想
見えない夢を美味しく味わうことを知っている人たちが、ここに住んでいる。たむろして酒飲んで人生を楽しんでいる。知った顔には朗らかに呼びかける。見知った子どもがちゃんと大きくなることを見守っている。惨めだけれど、なんとなく温かい。暗いけれど、ほんのちょっとだけ明るい。いつかそれらを失った時、懐かしく思いだす場所。
読了日:05月26日 著者:V.S. ナイポール
ぼくとニケぼくとニケ感想
小さくても大きくても、ひとつの命に係わる責任は、とても厳しいものだと、感じる。 それでも、覚悟と勇気をもって一歩踏み出したときに見えるものは、これまでとは変わるのだろう。当人だけがそれを知ることができるのだ、と感じている。
読了日:05月24日 著者:片川 優子
八十日間世界一周 (創元SF文庫)八十日間世界一周 (創元SF文庫)感想
1872年の世界は、なんて不思議なのだろう。アジア各地もアメリカも、ほとんど異世界のようだ。読んでいるうちに登場人物たちが、だんだん好人物に思えてくる。最後の一文に頷く。「実際、人は、それほどの大きな収益がなくても、世界一周をするのではなかろうか?」旅は、空間を移動するという意味だけではないから、ね。
読了日:05月20日 著者:ジュール・ヴェルヌ
メジロの来る庭メジロの来る庭感想
老夫婦の日々は丁寧だ。静かに安らかに続いている。でも、本当は、日々よいことばかりじゃないはずだ。幾つになったって、怒りや悲しみ、心配事が、寄せてくるはず。それだから目を転じれば、ありがとう・よかったが、こんなに沢山ある、と知ることは嬉しい事だ。私もささやかな良いものを大切に拾い集めていけたらいいなあ、と思う。
読了日:05月18日 著者:庄野 潤三
月白青船山(つきしろあおふねやま)月白青船山(つきしろあおふねやま)感想
鎌倉という土地の佇まいが、そのままファンタジーなのかも、と読み終えた今、思っている。いいや、鎌倉は、ファンタジーの主役なのかもしれない。鎌倉が生きている、呼吸している。現代の少年少女と代々の少年少女たちに、この夏の冒険がもたらした宝物が静かに輝きだすのは、きっとこの後。ああ、夏が終わる。名残り惜しい。
読了日:05月15日 著者:朽木 祥
ペットねずみ大さわぎペットねずみ大さわぎ感想
小さな二匹のジャービルをまんなかに置いて、始まったばかりの家族は、対立したり、譲歩したり、つっぱねたり、又譲歩したり、困ったり、自省したり。それぞれのやり方で、相手の気持ちを推し量りつつ、少しずつ寄り添い始める。ジャービルは自分らの運命(?)を預けて、このささやかな家族を見守っているようだ。
読了日:05月11日 著者:フィリパ・ピアス
桜風堂ものがたり(下) (PHP文芸文庫)桜風堂ものがたり(下) (PHP文芸文庫)感想
この本を読むと無性に本屋さんに行きたくなる。 登場人物たちの不器用さ、寂しさ、臆病さ、生きづらさのようなものは、居場所を得て、やさしさに変わる。だから、ここ(物語)は居心地がいい。物語の中の登場人物の言う「これは祝福された物語だ」は、そのまま、この本『桜風堂ものがたり』のことでもあった。
読了日:05月08日 著者:村山早紀
桜風堂ものがたり(上) (PHP文芸文庫)桜風堂ものがたり(上) (PHP文芸文庫)感想
本には読み巧者がいるように、きっと売り巧者がいる。売り巧者たちの物語。
読了日:05月08日 著者:村山早紀
何があってもおかしくない何があってもおかしくない感想
ほんとは逃げ切れる人生なんてないのだろうし、どうでもいい人生なんてない。いやいや、ただ生きている、というだけで、充分にたいそうなことだ、と思う。描かれるのは、ささやかな一瞬。小説のなかの当人さえ、もうそんなことがあったなんて忘れているかもしれない。そのささやかさが、いとおしい。
読了日:05月03日 著者:エリザベス ストラウト,Elizabeth Strout
消えた犬と野原の魔法 (児童書)消えた犬と野原の魔法 (児童書)感想
二人のおばあちゃんが二人の孫たちのために力を合わせて本を作った。読みながらふと思う。もしかしたら、家族だけがわかって「ふふっ」と思わずほほえんでしまう符丁がまだまだ文章や絵のなかに隠されているのではないだろうか。私は、この本のなかでお茶したい。昼寝したい。
読了日:05月01日 著者:フィリパ ピアス

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