3月の読書

3月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:1559
地図を広げて地図を広げて感想
鈴の内側から湧き出してくる言葉にじっと耳をすます。自分を見つけてくれる人を探す圭のように、鈴も「そこにいたんだね」と声をかけられるのを待っている。それは別の言葉になって、あるいは言葉にもならないような気配になって、あちこちに置かれている。地図記号みたいに。二人の自転車のわだちの下で、地図が広がる。
読了日:03月27日 著者:岩瀬 成子
かえりみちかえりみち感想
登下校にかかる時間はまっすぐ歩けば十数分。でも帰り道は遠い。商店街の路地は切り立った峡谷で、渡っているのは側溝の上のどぶ板ではなくて、深い谷を渡るとびとびの岩。黄金めざして密林の遺跡を進み、宇宙船から飛び降りる。絵は少し怖い鉛筆画。ページをめくるごとに、子どものころのたくさんの帰り道がよみがえってきます。
読了日:03月22日 著者:森 洋子
ぼくの兄の場合 (エクス・リブリス)ぼくの兄の場合 (エクス・リブリス)感想
もしも、そこにいたのが私だったら、どうしただろう。「そうすべきだとしても、自分にはできない」と答える事や、目をそらし沈黙してやり過ごすこと――その後ろにある、戦争だったんだから仕方がなかった、とか、何が起こっていたのか知らなかった、という言い訳に、狎れ合うことが許されるだろうか。
読了日:03月19日 著者:ウーヴェ・ティム
あ、はるだね (講談社の翻訳絵本)あ、はるだね (講談社の翻訳絵本)感想
男の子が地面に耳をぴったりつけて、「ちゃいろは、まだ ちゃいろだけど、みどりっぽく なって きてた。みみを すませて、みみを じめんに あてて、めを つむると わかる」という。私はここが好きだ。耳から、地面の下から、みどりっぽくなってきたことが伝わってくるなんて、いいな。
読了日:03月16日 著者:ジュリー・フォリアーノ,エリン.E・ステッド
種をまく人種をまく人感想
大切に思える場所、時間がある事、手を振り合える人がいる事、などが、何か人にいいことをするんじゃないか。みんなで協力して何かをなしとげようなんて誰も考えていなくても。種をまく場所はあちこち、そこいらじゅうにあるような気がしてくる。私たちは自分でも気が付かないうちに見えない種をまくかもしれない、そうだったらいいな。
読了日:03月13日 著者:ポール・フライシュマン
エデン (新潮文庫)エデン (新潮文庫)感想
チカは、この過酷な世界を「楽園」と呼ぶ。「叩きのめされたとしても楽園は楽園で、そこにいられること、そのことが至福なのだ」との言葉をかみしめる。自分で選んで、ここにいることを、「至福」といえるほどに懸命に暮らしているだろうか、と自分に問いかけながら。
読了日:03月12日 著者:近藤 史恵
スティグマータ (新潮文庫)スティグマータ (新潮文庫)感想
頂点を極めたことのある選手たちは、みな、その先の長い下り坂がきっと見えている。 だから、イストワール=物語、という言葉が、こんなにも心に残るのだ。夏の蒸し暑さも、地形の難も、はてしないほどの距離と日数と、ライバルたち……それから不気味で重たい影をも突き抜けて、選手たちは駆け抜けていく。
読了日:03月05日 著者:近藤 史恵
ひいな (創作児童読物)ひいな (創作児童読物)感想
由良は自分のお雛様をもっていないが、由良のお雛様はちゃんといる。お雛様も由良自身もそれをちゃんと知っている。手の内に持っているかどうかなんて関係ない。お雛様でなくてもいい。物言わぬものの気持ちを汲み取ろうとする子なら、きっとその胸の内を聞くことができる。ひな祭りは、友だち同士が再会を喜び合う嬉しいお祭りだ。
読了日:03月01日 著者:いとう みく

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