『もちろん返事をまってます』 ガリアロンフェデル・アミット

もちろん返事をまってます (新しい世界の文学)

もちろん返事をまってます (新しい世界の文学)


ノアのクラスで、担任の先生が「よその学校の子どもたち」と文通をしたくないか、と言ったことがきっかけで、ノアとドゥディ、11歳の二人の文通が始まる。


手紙は正直だと思う。
書き手が意識しないことまで、伝わってくる。
会ったことのない文通相手。自分とまったくちがう境遇。
固さや戸惑いが感じられる、はじめての手紙。
時々、傲慢に思えたり、気後れが見え隠れしたり。
手紙を待つワクワクも、受けとった時のうれしさも。


文通が続くうちに、二人の手紙が少しずつかわっていくのを、感じている。
当然、自分にできて相手にできないことがあること。
でも、相手にできて自分にできないことや、相手が持っていて自分が持ち得ないものがたくさんたくさん、あること。
そういうことに少しずつ気がついてきたから。眠れないくらい考えた夜もあったから。


文通するふたりのうち、ひとりは脳性マヒで、身体を自由に動かすことができない(文字を書くことも自由にはできない)
それは、最初からわかっていたことだ。
あまりにも違いすぎる二人の、その違いをどのように受け入れることができるか。
たとえ善意であっても、どちらかが足りていて、どちらかが足りていない、という視点にずっと留まっていたら、こんなに気持ちの良い関係は生まれなかっただろう。
若い二人の弾力のある友情が眩しい。