1月の読書

1月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2030

飛び込み台の女王 (STAMP BOOKS)飛び込み台の女王 (STAMP BOOKS)感想
子どもたちは、ときには仲間の不調を喜び、好調を嫉妬する。それを醜いと思うナージャを幼ないと思うのは残酷だけど、この道を真剣に進むなら、結局、自分はたったひとりなのだ、ということをしっかりと胸に刻むしかないのだろう。飛び込みの美しいフォーム、静けさが、文章から伝わってくる。息を呑んで、この美しさ・静けさに結晶する、成長への激しさ・厳しさを見守る。

読了日:01月27日 著者:マルティナ・ヴィルトナー
ネバーホームネバーホーム感想
大切な事に近づいているか、すでに触れているのではと思うのに、それをなかなか明らかにしない物語を読んでいると、信じられないと思う事も信じられなくなっていく。朦朧としていた輪郭や色が、さらに薄くなり、遠くへ去っていく。去っていくことは、でも、遠ざかることではないような気がする。去っていったものたちは、そのうち、自分のなかにゆっくり姿を現すような気がする。

読了日:01月23日 著者:レアード・ハント
遠い日の呼び声: ウェストール短編集 (WESTALL COLLECTION)遠い日の呼び声: ウェストール短編集 (WESTALL COLLECTION)感想
ほとんどの作品の後味に苦みを感じる短編集。自分自身の価値観を強く揺さぶられる、見えない戦争の物語。力ある者に押さえつけられる弱い者たちの物語(あるいは父と子)。その気もなく(ここ大切)主人公たちを力強く助けている猫たち。最後の作品が『じいちゃんの猫、スパルタン』であることもよかった。彼は足を踏み出す。あちらの主人公もこちらの主人公も誘っているよう。

読了日:01月21日 著者:ロバート ウェストール
ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)感想
タングは本当に人の子どものよう。同時に、その姿のまま、どこまでも「美しい」と思う。ベンは旅の途中、何度もロボットたちの人権について考える。ロボットやアンドロイドの姿をした彼らは、本当は何者だったんだろう。また、こうした学習するロボットたちを産み出したのが人間だ、ということが、気になっている。機械、魂をもった存在、その線引きはどこにあるのだろうか。

読了日:01月13日 著者:デボラ インストール
真ん中の子どもたち真ん中の子どもたち感想
言葉(それも自分の根っこに関わる言葉)を学び直すことは、自分自身という宝を探す大きな冒険のよう。それぞれが、それぞれにとっての意味、それぞれの向かい合い方で、果敢に挑む。「わたしは自分の根っこがどうなってるのか、ちゃんと見ておきたい。幹や枝や葉っぱはそれからだな」言葉をめぐる冒険は、どこまでも遠く旅しながら、自分自身の深くに降りていく旅のようだ。

読了日:01月09日 著者:温 又柔
四角い卵 (白水Uブックス)四角い卵 (白水Uブックス)感想
「丘が喜ぶとか谷間が笑うとかの空想にふける向きには、まちがいなくひどい渋面に見えそうなたたずまいの池である。」私はほんとうは、そういう「向き」に属していたいと願っているのだけれど、暗い池を覗いてみたくなるのだ。たぶん、一方にだけ属して生きていくことの方が、難しいのだと思う。でも強烈だったよ。また、オチが効きすぎていて忘れられないから困ってしまう。
読了日:01月06日 著者:サキ
二ノ橋 柳亭 (光文社文庫)二ノ橋 柳亭 (光文社文庫)感想
この作品集を通して、一つの星(もっと別の、もっとふさわしい言い方ができたらいいのだけれど)を見ているのだと気が付いた。その星が私も好きだ、そういう星があること、そういう星を見つめる人たちがいることを、いいなあと思った。見えなくてもいい。あるいは見えないからいい。ことに好きなのは『ブラックバス』『二ノ橋 柳亭』『目の体操』

読了日:01月02日 著者:神吉 拓郎

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