『犬がうまれる』 雲がうまれる

 

犬がうまれる - 絵と言葉の犬あるある101 …あ、猫もちょっぴり - (ワニプラス)

犬がうまれる - 絵と言葉の犬あるある101 …あ、猫もちょっぴり - (ワニプラス)

 

すっかりデフォルメされたイラストなのに、もともとの犬らしさと、作者の犬への愛とが、両方一緒に滲み出ているようで、写実、と言うのとは別のリアルさをしみじみと感じている。
各イラストに添えられた言葉の、一言一言が絶妙で、あるあると膝を打ち、ほのぼのと笑い、ときどき吹き出し、しんみりとして。


犬と幼い女の子が、まるいちゃぶ台に向かって何かひそひそとやっている後ろ姿。
「きょうね おかあさんのおたんじょうびなんだよ」
「じゃ ぼく ぬけげ あげようかな」
あの・・・
どうか、そんな気遣いはしないでね。


「いぬ、ぐーにだまされることなかれ」には、「あるある」と笑う。
ぎゅっとにぎった拳をみせると、期待に満ちた顔でおすわりする子がここにもいる。


「音楽記号の寝心地を検証してみた、犬で」
いろいろな音楽記号を、それぞれベッドに見立てて、そこで、ほんとに気持ちよさそうに犬たちが寝ている。
お気に入りは「♭♭」 二つの♭に、ネクタイをしめた犬が両前足をひっかけて、後ろ足で立ったまま寝ている。「てすりつりかわね」ですってさ。


「犬関連標識」も楽しい。道路標識のパロディなのだけれど、犬関連になると、かわいくてなんとも剽軽。
お気に入りは、「おさんぽ並進可」 四つ並んだおしりがたまらない。
「車両通行止め」の標識が犬用になると「ぼく通れたよ」に変わる。真ん中の斜線の下を余裕でくぐる犬の影。その犬のリードを持った人の影が、斜線に足をかけて乗り越えようとしている図案である。
ふきだしてしまったのは、二つ並んだ「犬一方通行」と「犬ムーンウォーク」の標識。二枚、よく似ているのだけれど、「←」のマークの右側に矢の方向を向いて歩く犬の姿が描かれたのが「犬一方通行」で、逆向きの「→」の左側に犬がいるのが「犬ムーンウォーク
すまして二枚並んでいるのが、おかしい。


満面の笑顔の子がこちらに顔を向けて言っている。
「かわいい なまえ
 ありがと
 よんでくれて
 ありがとう」
って。
ううん、こちらこそ、うちの子になってくれてありがとう。お返事してくれて、走ってきてくれてありがとう。ね。
このイラストのタイトルは「ぼくがぼくになった日」
私も忘れないよ、君がうちの子になった日。