4月の読書

4月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1690
私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝感想どんな料理と合わせても違和感なくまざりあってくれる、ちっとも特別に見えないのに、本当においしい家庭料理ばかり。カツ代さんのおかげでどんなに食卓が豊かになったか。『おいしく食べる』ために料理をする、という言葉に頷く。この本のあちこちの行間から浮かび上がってくる「平和」への強い願い。「カツ代は人一倍『いのち』を大切にする人だった」との言葉が心に残る。
読了日:04月26日 著者:中原 一歩
ビリー・ザ・キッド全仕事 (白水Uブックス)ビリー・ザ・キッド全仕事 (白水Uブックス)感想ある人物を浮かび上がらせるためには(もちろんどのように浮かび上がらせたいかにもよるけれど)きっちり書かれた小説よりも、寄せ集め・切り張りのコラージュのほうが、ふさわしい場合もあるのだ、と思った。21歳の短い生涯、最初から最後までページの中には「死」が漂っている。でも、彼は自分の死までも背中にヨイショと背負って、開き直って馬で行く、そんなイメージ。

読了日:04月24日 著者:マイケル・オンダーチェ
ネザーランドネザーランド感想妻もチャックも真実を語っていながら、真実ではない。言葉をここまで無残に意味ないものにしてしまえることに、愕然とする。そして、意味ない言葉たちの向こうにある「意味あるもの」が見えないことに(見せてもらえないことに)苛立つ。幻想的でけだるいような風景が、ものいわぬ画像が、言葉より確かなものに思えてくる。同時多発テロ後のニューヨークの心模様のよう。


読了日:04月22日 著者:ジョセフ オニール,Joseph O'Neill
嵐電―うらたじゅん作品集嵐電―うらたじゅん作品集感想探し物がみつからない人々が、同じように探し物をする人びとに共鳴して、小さな一期一会の出会いみたいなものが生まれる。その瞬間が、苦しいくらいに愛おしい。上へ上へと駆け足する足音が入り乱れる町の片隅に、言えなかった言葉、いつまでも待って居る人の事などが、ユウレイと溶け合って町を漂っているみたい。リアルなのは生身の人間よりもユウレイのほうに思えてくる。

読了日:04月17日 著者:うらた じゅん
もりのてがみ (こどものとも傑作集)もりのてがみ (こどものとも傑作集)感想片山令子・片山健が描く子どもが好き。たとえそのページに手の先がほんのちょっと描かれているだけの時でも、ちゃんと表情が見える気がするし、こどもの温もり、匂い、息遣いまで感じる。これは私のよく知っている子。そしてこれは、守られるべき「こどもがひとりでいるじかん」 この辺でも野原にスミレが咲き始めました。スミレが咲き始めると、この絵本を読みたくなる。
読了日:04月11日 著者:片山 令子
クマのプーさんと魔法の森クマのプーさんと魔法の森感想「天候」の章の『風』について書かれた部分は、擬人化された美しい詩のよう。『イーヨーの陰気な場所』の章。家庭内の微かな気配を描きだす文章は、凄みを感じる。もし父が成功した作家でなかったら、もし、『プー』の中に出てくる少年の名が「クリストファー・ロビン」でなかったら、クリストファー・ミルンの職業の選択肢のなかに「作家」はあっただろうか。

読了日:04月10日 著者:クリストファー・ミルン
思い出の青い丘―サトクリフ自伝思い出の青い丘―サトクリフ自伝感想子ども時代の思い出を読んでいると、懐かしさとともに、ほっと寛いだ気持ちになる。サトクリフの子ども時代のあれこれが、将来なるはずの「優れた子どもの本の著者」へと繋がっている、と感じる。「障がい」を持っているという事実よりも、普通の人びとと自分たちとをへだてる微妙な壁があることへの気付きに傷つけられたこと、心に残る。愛犬の話なども。
読了日:04月04日 著者:ローズマリ・サトクリフ
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