『たんたのたんてい』 中川李枝子/山脇百合子

たんたのたんてい (新しい日本の幼年童話 8)

たんたのたんてい (新しい日本の幼年童話 8)


くりの木まちのげんきなおとこのこ、たんのたんたは、郵便受けからしんぶんをおとうさんのところに配達するのがしごとでした。
ところが、ある朝、郵便受けには新聞が入っていませんでした。代わりに入っていたのは、にんじん色の、デコボコ使いかけのチューブだったのです。
さて、新聞はどこへ行ったかな。このチューブはなんなのだろう。
事件発生、のようです。
たんたは、おたんじょうびにもらったばかりの虫メガネをとりだして、たんていをはじめました。


姉妹編『たんたのたんけん』で、望遠鏡と宝の地図(あと、いつまでもなくならないイチゴの飴)をもって、たんたが探検に出発したように、
『たんたのたんてい』では、虫メガネをもって、探偵になる。
道具は、子どもが、何かをはじめるための(なりきるための)わくわくする必須アイテムなのだ。


夏のおわりの早朝。
のんびりとした空気が漂う町。
たくさんのきれいな使いかけチューブが出てくる。
使いかけチューブを手がかりに家から家を訪ね歩き、探偵仲間はどんどん増えていく。
町の中をあちこち駆け回るうちに、じけんはかいけつするし、最後には、くりの木まちのきれいな地図ができていくよう。


私の知っている探偵の中で、たんたは、いちばん若い名探偵です。(きっとこの本で初めてミステリに出会う子もたくさんいることだろう。)
事件が解決したら、名探偵は、新聞配達にもどるのです。新聞配達の必須アイテムは、もちろんしんぶん。