『ろばのとしょかん』 ジャネット・ウィンター

ろばのとしょかん コロンビアでほんとうにあったおはなし

ろばのとしょかん コロンビアでほんとうにあったおはなし


家の中に一冊も本がないのが普通、という地域がある。
多くの危険に阻まれつつ、二頭のろばに本を乗せ、山また山を越えて(山には追剥が出る!)一日掛りで本を届ける人がいる。本もろばも私財です。名前はルイスさん。
これは、コロンビアの実話をもとにした絵本です。
ルイスさんは、「読書には、形を変えて大きくなっていく力があると知って」いる人でした。(あとがきによる)


ルイスさんの読んでくれる本を聞きいる子どもたちの姿が好きです。(さんびきのこぶたの物語を、ぶたのおめんをつけて聞いているのだ)
木の下、ろばもちょうちょも覗き込む木の下で。
お話の世界に没頭する子どもたちの姿。
それは、なんて幸福な光景だろう。


最後のページの「はるかとおい山のむこうでも、ろうそくやランプのあかりがきえませんでした」という言葉が心地よい。
あちこちに、ぽつぽつと灯る本読む灯りが、夜空に散らばる星のようで美しい。