6月の読書

2015年6月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2098ページ

ひみつの白い石ひみつの白い石感想
特別の石。秘密の冒険。サーカスが来ている。夜の闇の中を自転車で駆け抜ける。菩提樹の木の上が約束の場所。子どもたちは裸足だ(何も起こらなくても、一日じゅう裸足でいられる夏がある、というだけで幸せになれるじゃないか)そして、子どもたちの大人の目の届かない基地(精神的にも物質的にも)を大切にしておける大人の存在を知ることは裸足と同じくらい気持ちがいい。
読了日:6月29日 著者:グンネル・リンデ
遠い部屋、遠い奇跡 (エクス・リブリス)遠い部屋、遠い奇跡 (エクス・リブリス)感想
金がすべてか、と思いきや、言葉にならない小さなきらめき(あまりに小さい)に、はっとしたりする。ささやかだけれど、それはそれは美しい絵のような時間がある。でもそれは、一時的な物、すぐに奪われて、どこにも繋がっていかない物。いっそ最初から無いほうがましだったかも。だけど、そういう一瞬を、拾い集めたくなる。大切にどこかにそっとしまっておきたくなる。
読了日:6月28日 著者:ダニヤールムイーヌッディーン
カンディード (1956年) (岩波文庫)カンディード (1956年) (岩波文庫)感想
「そんなばかな」と思うような逢瀬があったり、別れがあったり、なんと乱暴なこと。なんと忙しいこと。どんな摂理も通用しない非情な人の世だよ、とあざ笑うような苦難の連続と、繰り返し現れるかの師の教えの言葉の距離感が滑稽だ。へこたれず、地上の、おそらく10メートルくらい高いところをふわふわ漂っていくお坊ちゃんに、手を振ってやりたい。
読了日:6月26日 著者:ヴォルテール
イタリアのしっぽイタリアのしっぽ感想
人と動物が寄り添う絵を見ると妙に寂しくなる。だから、寂しさばかり拾いだすようにこの本を読んでいた。ルイザ、レッラ、リア夫人…印象に残る人。彼らは、ともに暮らす動物たちに自分自身の影を見ているのではないか。誰にも見せることのできなかった自分、遠い過去に置き去りにしたもう一人の自分と、一緒に暮らしているのかもしれない。「回帰点」という言葉が心に残る。
読了日:6月22日 著者:内田洋子
屋根屋屋根屋感想
夢の自由さは、ネットに似ているような気がする。紙一重なのだ。きらめく色彩のその後ろに終わりのない闇が控えているような、不安をずっとひきずっている。思えば、屋根は夢からこの身を守るためのものでもあるかもしれない。屋根を葺くことで、この身を現実につなぎとめる。屋根屋が屋根の上で作業するカタリカタリという音を一種不気味にも快くも感じ、懐かしんでいる。
読了日:6月17日 著者:村田喜代子
ヴォルテール、ただいま参上! (新潮クレスト・ブックス)ヴォルテール、ただいま参上! (新潮クレスト・ブックス)感想
偉人の偉人らしいところはすっぽり無視。小人間的な素顔(スケベな顔、小狡い顔、がめつい顔など)が浮かび上る。手の平の上でぴょこぴょこ跳ね回るのを眺めているよう。取りすました肖像画に手の込んだ落書きなんかしなくてもぐっと親しみが湧いてくる。とはいえ、これしか知らない、ではさすがに情けないとちらっと思う。せめて『カンディード』を読まねば、心に決める。
読了日:6月13日 著者:ハンス=ヨアヒムシェートリヒ
父さんの銃父さんの銃感想
語り手が子どもでなかったら、一つ一つの出来事に進んで注釈が加えられただろうけれど、子ども目線はただ事実を見たままに受け止める。感情表現もあまりない。そのことが「子供」として戸惑っているようであり、別の世界の読者を吸引するようだ。彼は最後には子どもではなくなる。私は置いていかれ、子ども(余所者)のまま。胸を痛めても理解に至らない。民族って何だろう。
読了日:6月8日 著者:ヒネルサレーム
アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー (文学の扉)アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー (文学の扉)感想
物質的な豊かさとは程遠いけれど、自然と隣人たち、家族たちのおおらかな見守りが、ボーたち子どもたちを育む。共同体の開かれた輪は、それが一過性のものだからか。ずっとここに暮し、子共たちを育ててきたエスキモーは、本当はこのにわか集落をどうとらえていたのだろうか、ふと疑問に思う。大人の事情はさておき、広い大地をころころ駆けるボーがかわいくて仕方がない。
読了日:6月3日 著者:カークパトリック・ヒル,レウィン・ファム
はじめての柴犬 飼い方 しつけ お手入れ―子犬に必要なことがひと目でわかる成長カレンダー 書き込み式お世話ノートつきはじめての柴犬 飼い方 しつけ お手入れ―子犬に必要なことがひと目でわかる成長カレンダー 書き込み式お世話ノートつき感想
二十数年ぶりに家に犬を迎えるにあたって。知らなかったこと、忘れてしまったこと、誤解していたことなども含めて、人の暮らしも、犬との付き合い方も、昔と今では、ずいぶんと変わったのだなあ、と思っている。頼りになる育犬書(?)の存在はありがたい。手の届くところにおいて、いろいろと助けてもらおう。
読了日:6月1日 著者:佐々淳行

読書メーター