『トリ・サムサ・ヘッチャラ』 ゾラン・ドヴェンカー/マーティン・バルトシャイト

トリ・サムサ・ヘッチャラ―あるペンギンのだいそれた陰謀

トリ・サムサ・ヘッチャラ―あるペンギンのだいそれた陰謀

  • 作者: ゾランドヴェンカー,マーティンバルトシャイト,Zoran Drvenker,Martin Baltscheit,木本栄
  • 出版社/メーカー: ひくまの出版
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 単行本
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厳しい冬が一年も続いている。
少年の冒険の旅の理由は、もういいかげん冬ににうんざりしたってこと。旅の目的は、冬に会ってひとこと文句を言うこと。
雪と氷に閉ざされた町で紙ふぶきを撒いているへんてこりんな姿のペンギンに、目を奪われる。
この世界を支えているのは、四季の美しいイメージだ。
春夏秋冬の神(?)が次々バトンタッチして、季節が移り変わっていくしくみは美しい。


だいそれた陰謀も、はからずもそれに立ち向かう冒険(?)も、単純だけれど切なる願いから始まるのだ。
小さい人(?)たちの思いがけない動機で、果敢に世界はまわっていく。
一方で、ちまっとしたちゃっかりさ加減に、おやまあ、とあきれつつ、からからっと笑っちゃう。


ごく普通の姿になっても中身はきっと特別だよ、と誰かさんの後ろ姿に声をかけてやろうかなあ。余計なお世話かなあ。