12月の読書

2014年12月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3237ページ

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)低地 (Shinchosha CREST BOOKS)感想
鬱鬱としたやりきれなさを振りまきつつ、必死にのたうち回る人びとが、たまらなく愛おしい。一点から離れ、戻り、また離れ・・・そして、その一点において、彼らは結ばれているのだ、と思う。その結び目が(取り返しのつかない苦しみが)明るく見えている。一瞬を中心に人びとの人生が放射している。星のような物語だと思った。
読了日:12月26日 著者:ジュンパラヒリ
シー・ペリル号の冒険シー・ペリル号の冒険感想
(再)ダーンリー・ミルズ3 : ダーンリー・ミルズはどこにあるのだろう。それは理想郷と思っている。理想郷が、あまりに「聖なる場所」であったら敷居が高すぎる。でも、すぐその角の先にありそうな明るい光さす場所を思い描くことができたら、元気に暮らしていけるんじゃないか。
読了日:12月20日 著者:フィリップ・ターナー
ハイ・フォースの地主屋敷ハイ・フォースの地主屋敷感想
(再)ダーンリー・ミルズ2
読了日:12月19日 著者:フィリップ・ターナー
シェパートン大佐の時計シェパートン大佐の時計感想
(再)ダーンリー・ミルズ1
読了日:12月17日 著者:フィリップ・ターナー
ある青春 (白水uブックス)ある青春 (白水uブックス)感想
内気で孤独な若者が恋人と二人肩寄せ合っている。若者たちの周りにいた大人たちもまた大人にはなれない。隷属感、閉塞感にやりきれなくなる。そこに自分のなにがしかの影が見えるから。不快でありながら、美しい言葉で綴られた場面に、ふっと郷愁めいた切なさを感じるのもそういうわけなのかも。
読了日:12月16日 著者:パトリックモディアノ
オウリィと呼ばれたころ―終戦をはさんだ自伝物語オウリィと呼ばれたころ―終戦をはさんだ自伝物語感想
青春期のほの明るさは、どん底から立ち上がる逞しさよりも、内側から駆け出してくる「夢」たちのの明るさのせいに違いない。表紙には、作者が若い日に描いた小さな人がいる。指さす先はきっと未来。童話作家の書くエッセイだもの、最後はおとぎ話の「めでたしめでたし」が待っているはず、と期待させてくれるのもうれしい。
読了日:12月13日 著者:佐藤さとる
ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ: 原子力を受け入れた日本 (ちくまプリマー新書)ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ: 原子力を受け入れた日本 (ちくまプリマー新書)感想
それは一体どこから始まったか。何度も世界地図の中の日本を振り返る。核だけに留まらない色々が複雑に絡み合って今の激流になった。「心理的共謀」という言葉が心に残る。この本の後にも「黙示録」は続いている。空っぽのままだと上面だけ染まって考えたような気になっていそう。遠回りでも、引っ掛かった所から学んでいく。
読了日:12月10日 著者:田口ランディ
海うそ海うそ感想
天地がそれらの記憶を抱いている。抱きながら、忘れていくしかなかった人びとの長い営みを受け入れている。そんな気がする。もはやなんだかわからなくなってしまった気のようなものが集まって海うそ(蜃気楼)になる。形よりも名よりもいっそう研ぎ澄まされた「何か」となって後世に伝えていくこともあるのではないか。
読了日:12月8日 著者:梨木香歩
ファンタジーを読む (講談社プラスアルファ文庫)ファンタジーを読む (講談社プラスアルファ文庫)感想
この本は、書評本ではない。著者は、臨床心理学者という立場から、心理療法の現場から、「たましいのありか」としてのファンタジーを辿っている。現実の世界に生きるわたしたちに、大切なもう一つの世界の存在を示してくれる。12の名作について丁寧に読みほどきながら、読者をもう一つの「真実」への旅に誘っているようだ。
読了日:12月6日 著者:河合隼雄
はるかな国の兄弟 (リンドグレーン作品集 (18))はるかな国の兄弟 (リンドグレーン作品集 (18))感想
再)この物語の『死』はどういう意味なのか。折に触れ、ずっと考えていた。生の中に死を宿すように、死の中に生を宿すということか。壊れた二つの腕輪を合わせて完璧になるようなものか。でもそれは、受け取り方によっては危険なものに思われる。本当はわからない。わからないままずっと気になる。きっとこれからも。
読了日:12月5日 著者:リンドグレーン
ゼバスチアンからの電話 (Best choice)ゼバスチアンからの電話 (Best choice)感想
依存することと抑圧することは、同じ根っこから生まれた双子ではないか。これジェンダーの問題にとどまらない。歪んだ関係、崩れたバランスは修復できるのか、ひび割れ壊れてしまうのか。ザビーネと恋人、ザビーネ一家、彼らを取り巻く環境。歪みは、どこの世界にもあるのだ。ザビーネたち若者たちは見つめていく。
読了日:12月1日 著者:イリーナ・コルシュノフ

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