『ねこのセーター』 おいかわけんじ/たけうちまりこ

ねこのセーター (学研おはなし絵本)

ねこのセーター (学研おはなし絵本)


色、絵のタッチ、雰囲気が好き。
子どものときに心地よかったものに繋がっているような、懐かしいような気がする。


だけど、なんであなのあいたぼろぼろのセーターなんだろう。
なんで、どんぐりに帽子をかぶせる仕事をしているのだろう。
なんだかさっぱりわからないのです。わかるような気がするけれどやっぱりわからなくて、それでもその暮らしが気になる。


ちゃんと生活することがきっと苦手なんだ。自分で自分をもてあましてしまうくらいにどうしようもないねこ。
でも、早起きだけは得意で、一晩寝たら、前の日のことはけろけろと忘れてしまえるのかな。
朝ごはんを食べながら、「きょうは よい てんきだね」という。


あっけらかんと笑ってしまう。
「よい てんきだね」と言える時間があることはいい。
ぼろぼろのセーターが気に入っていることも、いい。
これからの季節、穴のあいたセーターではさむいのではないか、と思うけれど、好きなんだ、というならそれがいいんだ。
そして、何もしないのがいい、という幸せがあってもいいや。
何を大切にして、一日のどの時間が好きで、どんな時に幸せと感じるか・・・余計なお世話はやめておこう。
そんなに悪い暮らしではないよ。見れば見るほどに情けないその顔に向かって、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」といいたくなる。