6月の読書

2014年6月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:3490ページ

パパのカノジョは (海外秀作絵本シリーズ)パパのカノジョは (海外秀作絵本シリーズ)感想
カノジョのカッコよさは、自分を大切にして堂々としていること。自分自身を大切にして、同じくらい人を大切にしていること。なんて素敵な人だろう。私もほかのだれかにそうしてあげたかった。してあげられなかったことばかり。後悔ばかり。何よりも私自身が私自身にしてあげたいことが沢山あるのだ、と気づきます。
読了日:6月28日 著者:ジャニスレヴィ
マクリーンの川マクリーンの川感想
モンタナの美しい自然。ひたすら続くフィッシングからフィッシング。でも本当に書かれたのは「書かれなかったもの」。作者は「わたしが愛し、理解しようとしてできなかった人」のことを書いた。自然も人も同じく驚異なのだ、と感嘆する。理解しようとしてもできない点で。理解できなくても深く愛することができるのだという点で。
読了日:6月26日 著者:ノーマンマクリーン
石井桃子のことば (とんぼの本)石井桃子のことば (とんぼの本)感想
石井桃子さんが遺した宝石のようなたくさんの言葉たちの味わい深いこと。引用に及ばず。そのまま全部大事だもの。抄編の沢山のエッセイも、石井さんの人生と時代、仕事の案内役となり新たな読書に導いてくれる。ふんだんな写真たちが素晴らしくて。目次の写真が特に好き。書斎の隅々に置かれた小物がそのまま世界を作っている。
読了日:6月25日 著者:中川李枝子,松岡享子,若菜晃子,松居直
まどさんからの手紙 こどもたちへまどさんからの手紙 こどもたちへ感想
まどさんの言葉は親が子に望むこと、自分自身がこうありたいという願いでもある。「じぶんがなりたいようなおとな、だいすきなおとなになる」 シンプルだけれど難しい。「どんなちいさなことでもぜんりょくをあげて」「たのしんで」 真摯な呼びかけは心に響く。そして途上の今も「いっかいきりのすごいとき」だね。元気になる。
読了日:6月25日 著者:まど・みちお,ささめやゆき
絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集)絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集)感想
『ゾウの時間ネズミの時間』が難しくて、参考書にこの本を借りてきました。数字やグラフ(の単位)に弱いわたしにもわかりやすかったし、あべ弘士さんの絵がすてきでした。
読了日:6月24日 著者:本川達雄
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)感想
自分の時間が絶対ではないのだ、というのは面白い発見でした。そう言えば、同じ人間同士でも行動がゆっくりな人も素早い人もいるものね。子どもの時にあんなに一日が長かったのは、大人サイズの時間で生活していたからかなあ、と思っている。絶対だと思っていたいろいろなこと、もしや場合によっては違うこともあるのかもしれない。
読了日:6月24日 著者:本川達雄
肥後の石工 (岩波少年文庫)肥後の石工 (岩波少年文庫)感想
三五郎を中心にして、橋を架ける物語である、ということは象徴的だと思いました。一つの橋が完成し、木組みの五本柱が轟音とともに落ちる。それを見つめる人々の心にはどんな橋が架かったことだろう。サトクリフを読んだような充足感、と言ったら、今西祐行さんに失礼だろうか・・・
読了日:6月19日 著者:今西祐行
秘密 下秘密 下感想
秘密は再び箱にしまわれた。いつか誰かが開けるだろうか。開けなくてもいいが秘密であるからにはきっと。そして、その人もまた、満ち足りた気持ちでまた箱の中に納めるのだろう。じりじりしながら追いかけてきた秘密の行く末をこのような形で目にすることができてよかった。遠くから見守りつづけてきた人を「悲しみと嬉しさがまじり合った」ような思いで振り返っている。
読了日:6月16日 著者:ケイト・モートン
秘密 上秘密 上感想
絵に描いたように美しい風景と家族の姿。この平和の枠からはみ出さないことを幸福として、ずっと守り続けることができるほどの、いったいどんな嵐が過去にあったのだろう。ある場面をきっかけに、固く鍵をかけられた秘密をどうしても知りたくなる。散りばめられた沢山の時間とたくさんの舞台。どう並べ替えたらきちんとした一枚の絵になるのだろう。
読了日:6月14日 著者:ケイト・モートン
おじいちゃんの口笛おじいちゃんの口笛感想
無心にだれかを愛したい、互いに、ただそれだけだったのだ。何よりも、この関係をお互いがおおいに楽しんでいることが素敵なのだ。美しい凧、夕闇の中のさくらんぼの木・・・そして口笛。しみいるような品々、しみいるような一瞬一瞬。切ないくらいに可笑しくて美しい。読後、胸に広がるのは、洗われたような爽やかさ。
読了日:6月13日 著者:ウルフスタルク
リトルジョンの静かな一日 (Hayakawa novels)リトルジョンの静かな一日 (Hayakawa novels)感想
表面のおだやかさからは、彼が心に負っているものはとても想像できない。それでも、さらにその奥の深い所に、彼の平和を(もっと深い平和を)私は、リトルジョンの中に見てしまう。苦しみと永遠に消えない後悔と・・・でもその下から、人間への信頼、大きな包容力が、にじみ出て、湧き上がってくる。さまざまな差別さえも、リトルジョンの人生の前では怯むしかないだろう。
読了日:6月12日 著者:ハワード・オーウェン
冬虫夏草冬虫夏草感想
無数の道がこの世と「あちら」とをつないでいるよう。その道が、冬虫夏草―幼虫の内に繁殖するという無数の菌糸に重なるような気がする。様々な不思議を、鷹揚に受け入れ、逃がし、それでいながら己の分限を越えることはなく。ゆるやかに歩く征四郎の姿を見ていると、自分もまたこの世の怪異の小さな一つだなのだと思えてくる。濃い山の気に包まれ気持ちのよい読書だった。
読了日:6月11日 著者:梨木香歩
マッティのうそとほんとの物語マッティのうそとほんとの物語感想
嘘はなくならない。束の間、悲しみや絶望を隠し、希望を与えてくれるからではないか? そんな希望はまやかしで、嘘がばれたときには、元に戻るどころか悲しみや絶望が倍返しになって襲ってくるとしても。山のようにたくさんの嘘の、その奥に、大きなほんとうのことが、たった一つ埋もれているって信じられたら、なんとかなるような気がする。だけど、この話、どこまで本当?
読了日:6月9日 著者:ザラー・ナオウラ
図書室の魔法 下 (創元SF文庫)図書室の魔法 下 (創元SF文庫)感想
中高生向きの本は「重苦しい、退屈、嫌い」と言い切るモリの言葉は、自信に満ちた挑戦状かな^^ この本が特別なのはきっと本物の魔法がそこにあるからだ。本物の魔法は「本」 魔法にかかるのは簡単だ。読めばいい。それだけで極上の魔法のはじめの一歩にかかってしまう。清々しい気持ちで読み切って、この本のサイドストーリーが書かれないかなあ、と願っている。
読了日:6月6日 著者:ジョー・ウォルトン
図書室の魔法 上 (創元SF文庫)図書室の魔法 上 (創元SF文庫)感想
フェアリーも魔法も出てくるが、あまりに過酷な運命を耐えるための、孤独な少女の妄想と取れないこともない。今のところは…。それにしても謎ばかり。物語はまだ半分だもの。一方、15歳少女の本(SF)への深い愛と造詣に恐れ入る。読書に年齢無関係だ。知らない作品ばかりなのが残念。端から読んで仲間に加われたらなあ。この物語が居心地のよい図書室のようではないか。
読了日:6月5日 著者:ジョー・ウォルトン
読書からはじまる読書からはじまる感想
人がいる、自分がいる、それより先にまず言葉がある。言葉が人の命に係わるなら、どのように本に向き合うかということは(読まないことも含めて)どのように生きるか、ということでもあるのだろう。いついつまでも読み切れない膨大な本が手の届くところにありますように。ただ楽しみのために本を読める日々でありますように。さらに、読書に心地よい椅子がみつかりますように。
読了日:6月4日 著者:長田弘
アルグン川の右岸 (エクス・リブリス)アルグン川の右岸 (エクス・リブリス)感想
語りに体ごと委ねる心地よさ。この本を読む数日の間、エヴェンキ族の人々とともに、90歳の老婆の一生を駆け足で駆け抜けていた。山の厳しい掟を守り、山の豊かさとともに生きてきた部族の、終わりかけている物語の中にいた。違う世界に生きる二人が「野蛮人」とののしり合う場面があったが、相手の文化や価値観に敬意を欠いたとき、その人は「野蛮人」になるのではないか。
読了日:6月2日 著者:遅子建

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