5月の読書

2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1943ページ

考える人 2014年 05月号 [雑誌]考える人 2014年 05月号 [雑誌]感想
ウルフ・スタルク「本を読むとは、自分自身を読むこと」 角野栄子「子供の文学は一人一人の心に不思議の種をそっと置いていくもの」 松浦寿輝「この現世に生きるのは、そんなに悪いことじゃないのかもしれないとわたしに囁きかけてくれた」 大切な本を送り出してくれた人々の言葉に耳を傾けつつ、子どもの頃出会った本が、今の自分を支えてくれている事を感謝している。
読了日:5月28日 著者:考える人
鴎外の子供たち―あとに残されたものの記録 (ちくま文庫)鴎外の子供たち―あとに残されたものの記録 (ちくま文庫)感想
母志けと鴎外の子どもたち。生活そのものが非凡というよりも、彼らの心のありようが非凡であったのだろう。エッセイというより、大河小説を読んでいるような充実感を感じた。濃い家族です。それぞれがなんと愛おしい人たちなのだろう。
読了日:5月26日 著者:森類
ナーダという名の少女ナーダという名の少女感想
もしかしたら、この世は、わたしたちが考えているよりもずっと賑やかなのかもしれない。「世界の始まりへの旅」は、戻ることではないのだ、という言葉が心に残る。光る星と闇の星の話も印象的。光と闇とが手を携えることで越えられることもあるのだ。開かれるものがあるのだ。シャカ シャカ シャカ シャ…のリズムが心地よい。
読了日:5月23日 著者:角野栄子
レター・フロム・ニューヨークレター・フロム・ニューヨーク感想
へレーンの心の若さが素敵。友人・隣人たちとの鮮やかなチームワークが好き。どれも可笑しくて温かい。ほとんどの人がどこかバラバラな場所から集まってきて、いずれバラバラに散っていく人たちなのだろうと推察する。根は、寂しい一人と一人。自分の孤独と相手の孤独をともに尊重しようとする暗黙の了解ではないだろうか。大都会の片隅のかけがえのない輝き。
読了日:5月21日 著者:ヘレーンハンフ
もう一度 (新潮クレスト・ブックス)もう一度 (新潮クレスト・ブックス)感想
一人称でどう考えても普通ではないことを普通に語り、あくまでも普通に進んでいく強引な物語である。強引な物語なら、途中でやめたくなるものだろう。ついていきたくないもの。だけど、困ったことにおもしろいのだ。読みつつ葛藤している。可笑しいけど笑えない。不気味で怖い。それでいて、あまりにひたむきにあらぬ方向に突き進んでいく主人公の健気さが切なくてたまらない。
読了日:5月17日 著者:トムマッカーシー
アイルランド童話集 隊を組んで歩く妖精達―其他 (岩波文庫)アイルランド童話集 隊を組んで歩く妖精達―其他 (岩波文庫)感想
お話のテーマを九つの項目に分けて、お話とともに項目ごとの短い解説がつくが、この解説が時には物語以上に興味深く、妖精事典のようで楽しかった。欲を言えばもっと沢山読みたかったなあ。巨人の豪快なお話が好き。ちまちまっとした策略の物語の筈なのに、何もかもスケールが大きいので豪快な物語を読んだようで気持ちがよいのだ。
読了日:5月13日 著者:
詩の樹の下で詩の樹の下で感想
沢山の樹について書かれた一冊の本を読みながら、大きな一本の樹が育っていくのを感じていた。それは詩人長田弘さんの「言葉」の樹。詩人の「言葉」は、ページを追うごとに静かになっていく。樹が育つほどに静かになっていく。そして、最後に「閑さ」になって、揺るがずに立っている。何度切り倒されても押し流されても、揺るがずに立つ樹になっている。神様みたいに。
読了日:5月9日 著者:長田弘
改訂版『原爆の子』その後: 「原爆の子」執筆者の半世紀改訂版『原爆の子』その後: 「原爆の子」執筆者の半世紀感想
原爆から受けた苦しみと、そのために後の人生で受けた謂われない苦しみは、静かな生活の下にずっと続いている。ここに投稿されている37人の後ろに、黙した大勢の『原爆の子』の『その後』がある事を忘れることはできない。長田三郎氏の「歴史より教えらるるはただ一つ、人は歴史についに学ばず」の無念の歌が突き刺さるよう。もう70年になる。でもいつまでも過去にはならない。
読了日:5月3日 著者:

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