『(改訂版)『原爆の子』その後: 「原爆の子」執筆者の半生記』 原爆の子きょう竹会

改訂版『原爆の子』その後: 「原爆の子」執筆者の半生記

改訂版『原爆の子』その後: 「原爆の子」執筆者の半生記


日本に原爆が投下されて6年後に、広島の子どもたちの作文を集めて長田新によって編まれた『原爆の子(上下)』(感想はこちら
それから、四十四年後の1989年に『その後』が、六十八年後の2013年に新たな執筆者を加えて『改訂版その後』が出版されました。執筆者は37名。37名の被曝者の方たちの半生記です。
『原爆の子(上下)』の序文で、編者長田新さんは、このように書いています。
「もし他郷の人が広島の人に話しかけたら、彼らはむしろほがらかな笑顔を持って答えるであろう。しかし広島の人々の胸の中には永久に癒すことのできない苦悩がひそんでいるのだ。そしてその苦悩は年月と共にますます強く燃えさからずにはいない。」
・・・そのことを、わたしは、この『その後』で確認してしまっている。
今を静かに暮らす人たちも、忘れたくても忘れられない深い痛みを抱えて、今日に至っていることを。
原爆そのものから受けた苦しみと。そのために、後の人生で受けた謂われない苦しみと。
この人たちが静かに背負ってきた深い痛みは、人間によってもたらされたものばかりだということを思い知ります。
そして、ここに投稿されている人たちの後ろに、黙した大勢の『原爆の子』の『その後』があることを忘れることはできません。


・・・そうして、何年たったか、という事は問題ではない。
「忘れてはいけない」などと言っていられるわたしはあまりに呑気で、あまりに幸せなのだ。
執筆者の一人によって、『原爆の子』の編者長田新氏の子息三郎氏の辞世の短歌がとりあげられています。
「歴史より教えらるるはただ一つ、人は歴史についに学ばず」長田三郎氏の無念の思いが、突き刺さるようです。