朝のコント

朝のコント (岩波文庫 赤 562-4)

朝のコント (岩波文庫 赤 562-4)


『ル・マタン(=「朝」)』紙に掲載されたコント(小品)二十四編。
舞台さまざま、状況も様々、ジャンルも様々だけれど、全体として牧歌的な雰囲気が漂う。


『チエンヌの女房の足』みたいな田舎の日常のちょっとした瞬間を切り取ったものが好きです。
なんのこともない事件、すぐに忘れそうなことなのだけれど、思えばどうってことない一日の中にはさまざまな悲喜劇がつまっているものだ、と思い起こさせてくれる。


『ぬけやすみ』の少年たちの気持ち・・・覚えあるなあ。取り返しのつかない思いもまた甘酸っぱく、なつかしい。美しい草原の草の匂いもする。瑞々しい小品。


『サタンの敗北』
「地獄のそうべえ」を思い出す。
サタンもえんまさまも似たような仕事をしているのかな。そして、似たようなことに手を焼いているのかな。


『マッチ』
ベッドの上から投げ捨てたばかりのマッチが気になる・・・いきなりぎょっとする展開。
ベッドの下の・・・どきどきどきどき。あれよあれよという間のどんでん返しにほっとする。短篇ならではの楽しさ。


ところで、挿入されたたくさんのカット(スケッチ?)は作者が描かれたものなのだろうか。
名まえもなく、何も説明がなくて、とても気になっています。