木曜日だった男

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)


詩人登場。詩人は冒険者である。
最初に鮮やかな手並みの一場を見せられて、なんて粋なんだ、と舌をまくけれど、それはほんの始まりのご挨拶であった。


日曜日から土曜日まで、七曜を名乗る男たちの秘密結社がある。彼らはテロリストであるという。テロを未然に防がなければならない・・・というのだけれど、さて?


感想を、たとえて言えば・・・地面に二本足で立っているはずだったのに、実は逆立ちして突っ走っていたことに気がついた感じ。
いえ、逆立ちだと思っていたら、それもまた違って・・・どっちが上でどっちが下なのか、どっちが右でどっちが左なのか、もうわからなくなってくるのです。そもそも、双方に違いなんてあるのだろうか、と思い始めます。
さらには、自分はいったい何者なのかも・・・自信を持って言えなくなってしまう。
それは苦しいことなのか? (だって、この本の副題って『一つの悪夢』です。)
むしろ、のどかさ? 私は楽しんでいる。


あちこちの含みのある文章が難しくて、一体何の事?と何度も読みなおしたりしました。わからないところはわからないまま。(まあいいや^^)
哲学的なのかな。壮大な皮肉物語なのかな。それとも素敵なお伽噺、見事な法螺話でしょうか。ご機嫌で知的なゲームへの招待状だったのかもしれない。


タイトルは『木曜日だった男』原題は"The Man Who Was Thursday"・・・いったいどういう意味なのか?と思うではないですか。