- 作者: 立原道造
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2004/03/26
- メディア: 単行本
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詩を繋いで物語ができていく。
寓話のような物語(詩)ばかり。
語り手もいるし、他の人物もいる。
語られる事件もあるし、緩やかな盛り上がりもある。
それなのに、どの物語(詩)も現実離れしている。
主人公たち(どれも詩人自身)は恋をする。だけど、本当に恋をしていたのか。
愛する少女は、陽炎のようでもあり、月の光のようでもある。
きっと、詩人の身近に本当にそういう娘がいたのだろう。
だけど、彼は彼女を本当にありのままに愛していたのだろうか。
彼は生きた娘の向こうに、自分の理想の姿を描いていたのではないか。求めていたのではないか。
彼が愛していたのは自分自身だったのかもしれない。
とても寂しい。彼はいつもひとりぼっちだ。
だけど、充実した世界がそこにはある。
それはきっと寂しくないことよりも大切なものなんだね。
詩は美しいです。とても美しい。
こんな詩を書く立原道造には、もしかしたら、生身の恋など必要なかったのかも…