- 作者: ロジェ・マルタン・デュ・ガール,山内義雄
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1984/01/01
- メディア: 新書
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ああ、ジャックは生きづらいだろうなあ。
彼の繊細な感覚、純粋さ、どの場面でも、濁りがない。妥協もない。
…すぎるのだ。
そのままでいるのは、苦しいだろうなあ。
愛情への渇望、自分を表現することの不器用さも、ため息が出るほどだ。
まるっきり逆の方向を向く父とジャック、皮肉にも似たところもある。
自分の感情に正直であるところ。自分の感情を隠すのが下手、隠そうという気がない、というところ。
そして、名誉欲もあり、そのための才能もあり、計算高いところもあるアントワーヌ。
だけど、一言で計算高い、というにはあまりに純情で人の良いところもある彼には、何か悲劇の予感があるのだけれど。
それにしても、たった三人だけのチボーなのに、互いの間の何と寒々としていることか。
三人が三人とも自分の思いこみで相手を見ているし、そのくせ、相手は自分のことをわかっていないと思ってもいる。
二巻から、5年が過ぎている。
主だった登場人物たち、みな恋をしている。
この巻の副題は「美しい季節」
だけど、それぞれ、浮かれてもいられなそうだ・・・
このまますんなりと上手い具合にいきそうなカップルがまるっきり見当たらないし。
(ユダヤ人の娘、父子因縁のある娘、許されない家の娘・・・などなど。そもそも、その人を本当に愛しているのか、などなど。)
ダニエルと、その父は、ううん・・・個人的には豆腐の角にでもなんとかしてくれていい。
これで「美しい季節」かなあ。
この先、どうなっていくのだろう。
ダニエルの周辺あたりから、登場人物がやたら増えてきた。
どの人が大切でどの人が端役なのか今のところわからない。覚えていられるかな、次の巻まで。