グランパ・グリーンの庭

グランパ・グリーンの庭

グランパ・グリーンの庭


動物の形に刈りこまれたトピアリーを初めて見たのは、いつだっただろう、どこだっただろう――


この絵本のおじいちゃんは、庭師。
すっきりと刈り込まれた植木から、芳しい匂いがしてくる。
緑、緑、緑、気持ちよく緑・・・


おじいちゃんの庭の、おじいちゃんに刈りこまれた植木たちは、おじいちゃんの人生を語る。
木々は、おじいちゃんの思い出の姿に整えられているのです。
赤ちゃんだったおじいちゃん、
一緒に育ったぶたや野菜たち、
病気で学校を休んだ日に読んだ本のなかから現れた本の世界のたくさんの友だち、
初めてのキス、
将来の夢を描くけれども、無理やり曲げなければならなかった。それを語る植木は、横を向いて伸びる・・・
結婚して…「けんかなんかひとつもしなかった」――はずなのに、植木は黙って迷路のかたち。


庭の植木たちは、おじいちゃんの人生の物語を、姿で語ります。
おじいちゃんの庭はいきいきと、呼吸をしているようです。
にぎやかに全ての時のおじいちゃんたちが爽やかな緑の姿で語らい合っているようだ。


わたしを、この庭の奥へ奥へと案内するのは、おじいちゃんのひ孫。
最初、この子が何をしているのかわからなかった。
カートを引っぱって、せっせせっせとなにをしているのか、わからなかった。
・・・そういうことだったのね、と知ったのは、二度読んでから。


ときどきいろいろなことを忘れるようになったというおじいちゃんですが、
ひ孫は「でもだいじょうぶ」と言います。
わたしも「大丈夫」を知っています。
だって、このひ孫にわたし、ついてきたんだもの。
沢山の時代のおじいちゃんの思い出たちは、ひ孫の手にゆだねられる。
おじいちゃんの庭は、ひ孫の庭に続いていく。
緑あふれる絵本のページには、温かい日の光が注いでいるような気がします。