- 作者: アーサービナード,ベンシャーン,Ben Shahn,Arthur Binard
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 単行本
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ベン・シャーンの、第五福竜丸事件をとりあげた連作「Lucky Dragon Series」に、
アーサー・ビナードが文章を添えて生まれた絵本です。
その絵の力強さに圧倒される。
ベン・シャーン自らの晩年の言葉そのままに「石に刻む」
石に刻むようにして描かれた線は、読み手の胸に刻み込まれる。
力強くて怖ろしくて悲しい。
添えられた詩人ビナードさんの文章は、極力抑え込まれているようだ。
絵と文章とが、圧倒的な盛り上がりになって迫ってくるのは、ここ。
この本はなんだろう、と思った。
「太陽がのぼるぞぉー!」
神話か。黙示録か。
終末の始まりを語る怖ろしい神話のようだ。
ベン・シャーンの「Lucky Dragon Series」を絵本にするにあたって、
ビナードさんは、なぜタイトルを「これが家だ」としただろう。
第五福竜丸は、遠洋ヘマグロを捕りに行く漁師たちが共に暮らす「家」であったろう。
そして、命がけで帰ろうとした日本、焼津が、彼らの家族の待つ本当の「家」であったろう。
家は帰る場所だ。
2011年3月5日、丸木美術館では、企画展『第五福竜丸事件 ベン・シャーンと丸木夫妻』に伴って、
第五福竜丸元乗組員大石又七さんとアーサー・ビナードさんの講演があったそうだ。
そのときビナードさんは「私たちは皆、第五福竜丸に乗っているのだ」と語ったそうです。
(岩波ブックレット『第五福竜丸から「3.11」後へ』による)
そうであるなら、わたしたちが命がけで帰る港はどこなのだろう。