あなただけのちいさないえ

あなただけのちいさないえ

あなただけのちいさないえ

  • 作者: ベアトリス・シェンクド・レーニエ,アイリーンハース,Beatrice Schenk De Regniers,Irene Haas,ほしかわなつよ
  • 出版社/メーカー: 童話館出版
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 単行本
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玩具店で売っている、カラフルな色やイラストがあふれたかわいいティピーや遊び小屋、本物そっくりのままごとキッチン、
なんてものではなくて・・・


ダイニングの椅子に毛布やシーツをかけたり、
寝室にマットレスや布団をたてかけて作った空間、
芝生の上にさしかけたありったけの雨傘、
ガレージの隅に積み上げた段ボールなどなど・・・
子どもたちは、膨大な時間をかけて、自分の「おうち」を作ったものだった。
ほんのわずかな隙間や角度を何度も何度も調節したり、部品を取り換えたり、最初からつくりかえたり。
その「おうち」は、どんなに豪華な既製品もかなわない。
そして、こうして、言葉を並べただけで、
不思議に心がゆったりと緩んでくるような、または、はずんでくるような気がします。
これらのおうちにはいろいろと秘密があるはずなのです。
建設者(?)だけにしかわからない、見えない、たくさんの魅力を備えた、極上のおうち。
この建造物を、子どもたちはいろいろな名まえで呼ぶ。秘密基地、お城、単におうち・・・


自分が子どもの頃もそうだった。
それほど自由にこういう世界を建設させてはもらえなかったけれど、
素材はどこにでもあったし、何よりも空中に見えない楼閣を描くことだってできた。


やがて、自分の子どもたちがそうやって遊ぶようになったとき、
見ぬふりして、こっそり見ていた。楽しんで。
時々聞こえてくるぶつぶつ独り言(?)をこっそり聞いていた。
運がいいときには、お客に呼んでもらう、という光栄にあずかれました。


>ひとは だれでも、そのひとだけの ちいさないえを もつひつようがあります。
この絵本は、こういうおうちは大人にも必要で、大人も持っているのだ、と言います。
ただ、そのおうちは、子どものおうちとはちょっと形が違うので、わかりづらい時が多いのだけれど。
たいていは「ひとりでいる時間」という形であらわされます。
誰かが自分のおうちに一人でいるのを見かけたらどうしたらいいか、ということも書かれています。
>・・・わすれないでいてください。
とても れいぎただしくすることを、
そっと あるき、
おだやかに はなすことを。