贋作に明日はない

贋作に明日はない (創元推理文庫)

贋作に明日はない (創元推理文庫)


前作『贋作と共に去りぬ』よりも、さらに賑やかになっている。
冒頭で派手に登場するのがいきなり死体! しかも第一発見者が、われらのアニー。
このまま話はとんとん拍子に進み・・・とはなりません。


アニーやアニーの友人たちがあまりに個性的で、にぎやかで、
彼らの華やかさに、本来のミステリとしての魅力が隠れてしまっている?
しかも怪しい人もこともたくさんおこるのだけれど、とりとめがなく思えて、興味が持続しない。歳かしら?


いいんだ、ミステリはもう置いておく。放っといても必ずどこかに着地するでしょ。
と、物語を信頼する、というか放置する、というか・・・
じゃあ、何を読んでいたのか、といったら、ぽんぽん飛び交う会話である。
賑やか、にぎやか。いい加減なんだか真面目なんだかわからない連中、
一癖もふたくせもありそうなくせして、どこかお人よしだったりする皆さんが、わたしは好きです。
アニーの崇拝者はまたまた増えたらしいし、ね。
一巻から続くおなじみさんたちの事情には、さらに詳しく(あるいはますますわからなく)なってきたし、ね。


そして、終盤。(わたしのなかでは)もう知らない、と放置しておいたミステリがちゃんと帰ってきた。
あっちこっちに一見無意味に散らかされた言葉たちが
おもしろいようにぴたっと嵌るところに嵌るもんだねえ。そうだったのかー。
そうして、やっぱり、どこか遠くで何もかもお見通しのあのご老人がにっこり笑ってウィンクしているような気がしたのでした。
ジョルジュ・ルフルール。大物。