ふゆめがっしょうだん

ふゆめ がっしょうだん (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)

ふゆめ がっしょうだん (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)


『生きもののヘンな顔』を読んでいたら、この絵本がとても恋しくなった。
人ではないものに人の表情を見る、ということで。
でも、それ以上にこの絵本に惹かれるのは・・・


・・・ほら、やっぱり歌っているんだ。
音にならない音で。
言葉にならない言葉で。
聞こえる、聞こえる。耳ではないところで聞いている。


心沸き立つ歌は命の歌です。
声合わせ歌う顔は、どの子もどの子も、みんな違う。
こんなにかわいらしい絵本なのに、詩なのに、ほわんとした感じじゃない、しなやかな強さを感じる。
なぜなら、きのめたちは、この顔の下に、春夏秋冬を生き抜く知恵と力を蓄えている。
それを意識しながら、寒風のなかで、パッパッパッパッ、と歌っている。
パッパッパッパッは、歌声であり、きのなかの心臓の音。それに響き合う私の心臓の音。
あついものが胸の奥からせりあがってくるような気がする。
力強い、真冬の歌声に、わたしは感動してしまいます。
そうして、照れずに言いたくなるのだ。生きているって、こんなに嬉しいって。