2月の読書

2月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:2642ページ

グラニー (アグネス・ブラウン3部作)グラニー (アグネス・ブラウン3部作)
『マミー』『チズラーズ』、そして最後の『グラニー』もう、この続きはないんだなあ。「続チズラーズ」を心のなかで思い描いています。短編とかであったらいいのに。アグネスの子どもたちの物語は続く。(アグネス、いつか、わたしも「そこ」で、お茶に呼んでね)たくさんのドラゴンフライが美しい空を飛び交っているイメージを心に思い描きつつ読了。
読了日:02月27日 著者:ブレンダン・オキャロル
新聞記者が本音で答える「原発事故とメディアへの疑問」 (わが子からはじまる クレヨンハウス・ブックレット)新聞記者が本音で答える「原発事故とメディアへの疑問」 (わが子からはじまる クレヨンハウス・ブックレット)
事故後、各メディアの報道の不思議さの理由、各新聞のカラーが鮮明になったことなど、なるほどと思った。ことに第四章・五章は引きこまれた。「原発のシステムは現代社会のゆがみを集約している」のゆがみのなかに、自分自身がまるごとあてはまっていた。「長いもの」は身近にある。巻かれないような賢さ強さが必要。自立してしっかり暮らしていかなくては。
読了日:02月25日 著者:田原 牧
小児科医が診た放射能と子どもたち (わが子からはじまる クレヨンハウス・ブックレット004)小児科医が診た放射能と子どもたち (わが子からはじまる クレヨンハウス・ブックレット004)
わからないことにわかったふりをする危なさ。見えてくるのは五年後、十年後。忘れてはいけない、巻かれてもいけない、と心新たに。Q&AのQは等身大で参考になる。対する山田先生のAは、質問へのAであると同時に、問題を越えて、先生の人間性・信念の一端に触れるような思いでした。ことに一親としては「ふつうの子って何だよ」が心に残る。
読了日:02月25日 著者:山田 真
わたしの山の精霊(リューベツァール)ものがたりわたしの山の精霊(リューベツァール)ものがたり
「さいごのお話」がよかった。これまでのお話がみんな「さいごのお話」に向かって集まってきているような気がする。理不尽に奪われ失うものの多い苦難の人生だったことだろう・・・。でも、山の神は、遠くに行ってしまった彼を、忘れても見捨ててもいなかったんだね。
読了日:02月23日 著者:オトフリート プロイスラー
キャンバスキャンバス
とてもおもしろかった。まず、「やってのけたこと」が見事。清々しくて洒落ているなあ、と思う。それから形のない部分の「成功」に感動する。あとから物語全体を振り返ってみて、そうだったのか、そういうことだったのか、と驚くとともに温かい気持ちに包まれる。読後の余韻は「希望」かな。
読了日:02月20日 著者:サンティアーゴ ・パハーレス
犬は神様犬は神様
犬と暮らす。ことにルーカスの老いの姿は、せつなかった。そして、残酷だけど、可笑しくもあった。そしてやっぱり愛おしかった。わたしの思い出はシーチキンだったよ。とっておかなくちゃ、と思って、それからもういいんだ、と思い直した事など、蘇る。ずーっと前のこと。悲しいけど、あえてよかった。人も犬も幸せだったねえ。
読了日:02月17日 著者:山本 容子
犬のルーカス (イメージの森)犬のルーカス (イメージの森)
犬に体を寄せているみたいな、肌ざわり、少し湿っぽい温かさや匂いまで感じられて心地よい。「そして、ルーカスを飼っているのはわたしたちではなく、ルーカスが、わたしたちをそだての親にえらんだのではないかとおもう」に、うんうんうん、としきりに頷いている。
読了日:02月16日 著者:山本 容子
サリーのえらぶ道サリーのえらぶ道
旅と旅の間の幕間のようでもあった一夏。苦いことや理不尽なことをたくさん経験したサリー。でも、かけがえのない美しいものもたくさん見た。それがあるから、夢をみられるんだ、と思う。さて、サリーの新しい旅が始まる。旅の行方は、今のところ何も見えない。なんだか危なっかしいような気もする。だけどとっても楽しみでもある。
読了日:02月15日 著者:エリザベス オハラ
父さんの手紙はぜんぶおぼえた父さんの手紙はぜんぶおぼえた
リーネケが小さかったとき部屋の明かりを消すのが怖かった。兄のバルトが窓を開けて空を見せてくれた。そうしたら、もう怖くなくなった。暗い空にはたくさんの星が輝いていたから。このくだり、もう一度読みたいと思ったけれど、一体どこに書かれていたのか見つからない。リーネケのような人々を救いあげた星の輝きに(本に書かれていないたくさんの星たちにも)心動かされる。ホロコーストや戦争の本をなぜ読むか、といったら、星さがしのためかもしれない。
読了日:02月13日 著者:タミ・シェム=トヴ
ムーミン谷の仲間たち (ムーミン童話全集 6)ムーミン谷の仲間たち (ムーミン童話全集 6)
人生ままならないと開き直った時(?)がハッピーエンドの入口だったりする楽しい短編集。自分が何を望んでいるのか、どういう状態を幸せだと思っているのか、もう一度ちゃんと確かめなくちゃ。最後を飾る『モミの木』が一番好きです。ムーミン一家の集いには(そういう言葉の意味を知っていても知らなくても)まるごとクリスマスの心があるように思えた。美しかった。
読了日:02月09日 著者:トーベ・ヤンソン
望月のあと (覚書源氏物語『若菜』)望月のあと (覚書源氏物語『若菜』)
紫式部の物語と現実の世界(?)とが、まるで追いかけっこをしているような楽しさを味わった。作者の筆により温かい光を浴びて輝くのは、地を這うように生きるどん底の人たち、一見あっちにこっちに転がされるままの名もない女たち。世は移り変わっていく。望月のあとを予感させる道長老いが滑稽でもあり哀れでもあり。その一方で、のびやかに生きていく若い人たちに幸多かれと祈ります。
読了日:02月06日 著者:森谷 明子
チズラーズチズラーズ
『マミー』から三年。子どもたちそれぞれに、それぞれらしく成長していました。『ふくろ小路一番地』などの児童書を思い出す。彼らは、生活に追われながら、手を抜いてはいけない勘所を押さえている。人生に誠実で、真に賢い人たち。物語はストレートですが、その分、ぶれず、照れず、こんなにもまっすぐに、生きていく喜びと、大切なものとを謳っている。最後の一文で、彼らの絆の深さを思い知らされていた。
読了日:02月03日 著者:ブレンダン・オキャロル
白桃―― 野呂邦暢短篇選 (大人の本棚)白桃―― 野呂邦暢短篇選 (大人の本棚)
地味である、決して明るい話ではない、さらにいえば、どの作品にも一定の閉そく感があり、淀んだ空気感がある。その淀みがむしろ安定感のようにも思える。この安定感のなかで、静かに物語の機微を味わう。瞬間の人の気持ちが物語なんだと思う。そのちょっとした瞬間を丁寧にさすっていくような文章を味わうのは心地よいです。一番好きなのは何も起こらない(という)『十一月』 何も起こらないからこその味わいでした。
読了日:02月01日 著者:野呂 邦暢

2012年2月の読書メーターまとめ詳細
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