- 作者: 干刈あがた
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2000/01
- メディア: 文庫
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悩みに悩んで、何もかも覚悟して気持ちを固めて、それだって、きっと颯爽となんてできないだろうなあ。
だって、未知の世界なんだもの。
そして、いろいろ理由を並べたてたとしても、
それから、一生懸命考えたとしても本当は、どうしてそうなったかわからないんだろうねえ。わからないのが当たり前のような気がする。
自分で決めた大人だってそれだもの。
子ども・・・
否応なしに、何の説明もなく、自分の一番大切なもの、心のよりどころを突き崩されて奪われて、
その加害者(?)が、やっぱり自分の一番愛する両親だったら、恨むことも憎むこともできない、辛いなんて言葉にできないくらいにひどい話。
良くある話、なんかじゃないよね。
子どもをこんな目にあわせた加害者が親で、でも同時に親も被害者だから、優しい子は何も言えなくなってしまう。
何も言えないから、言いたいことやぶつけたいことを違う形にしてしまう。痛くてしかたがなかった。
こんな形の子どもの強さを強さと呼んでいいわけない。まして成長なんて言えない。
まだまだ、当たり前に両手に両親の手を引き寄せてぶら下がっていていいんだよ。
それが保証されなくなってしまったってことを、親は、どうにもしてやれない事が辛い。
どんな理屈をつけて、どんなふうに昇華しようとしたって、どうにもしてやれないものはどうにもしてやれないんだな・・・
必死で耐えて守って戦って、その必死さがあまりにせつない。
その先に「僕たちは探検隊みたいだね」なんて、たまらないじゃないか。
私はずるいなあ、弱いなあ、無力だなあ、情けないなあ。
四つの短編が収録されている。
どれもよかった。でも一番心に残るのは表題作「ウホッホ探検隊」だった。